発展途上国が協力強化/朝鮮代表が2つのサミットに参加
2024年01月31日 13:34 対外・国際非同盟運動発展への立場示す
1月にウガンダのカンパラで行われた第19回非同盟諸国首脳会議(1月19~20日)と、第3回南首脳会議(同21~22日)に、朝鮮政府特使である金先敬外務次官を団長とする朝鮮代表団が参加した。両サミットでは、米欧による高圧的な制裁、米欧中心の国際経済秩序に反対し、非同盟諸国が協力を強化する立場が表明された。
新たな国際秩序樹立に向け
非同盟諸国首脳会議は、非同盟主義を掲げる国による国際会議で、1961年にユーゴスラビアのベオグラードで第1回が開催された。前回の第18回会議(2019年10月25~26日)はアゼルバイジャンのバクーで行われ、朝鮮代表団団長として参加した最高人民会議常任委員会の崔竜海委員長が演説した。
第19回目の今会議には、加盟国120カ国の国家元首および政府首班、高位代表団とオブザーバー国家の代表、国際および地域機構の代表が出席し、西側の一方的な制裁を非難し、非同盟諸国間の安全保障協力を発展させる合意がなされた。
会議では、ウガンダのヨウェリ・カグタ・ムセベニ大統領が開幕演説を行ったほか、各国の代表団団長らが演説した。
朝鮮代表団団長・金先敬外務次官は演説で、国際舞台では依然として力の論理に基づいた強権と専横により運動加盟国の自主権と生存権が侵害されているとし、その傾向は朝鮮半島でも集中的に表れていると指摘。また、朝鮮が自国の主権的権利を守るために闘うのは、非同盟運動の理念に合致し、これは世界の平和と安全、運動の発展に寄与することになると述べた。
そして、朝鮮政府は自主と正義に基づいた新たな国際秩序の樹立において非同盟運動の役割の強化を引き続き重視し、運動の発展の力の限りを尽くす立場を示した。
一方、第3回南首脳会議には、朝鮮代表団をはじめ、80を超える国家元首および政府首班、高位代表団、地域及び国際機構の代表らが参加した。
南首脳会議は、G77(77カ国グループ)の最高意思決定機関だ。G77は非同盟諸国会議に類似するものとして1964年に発足し、グローバルサウスをはじめとする新興国で構成される。現在の加盟国数は134カ国で、国連加盟国の3分の2以上を占める。南首脳会議は、2000年4月にキューバのハバナで初めて開催され、第2回は05年6月にカタールのドーハで開かれた。
今会議は、貿易、持続可能な開発、気候変動、貧困撲滅、デジタル経済の分野を含む南南協力を促進することを目的として行われた。
会議では、キューバのサルバドル・アントニオ・バルデスメサ国家副主席が開幕の辞を述べ、各国代表団の団長らが演説した。
各国団長らは、発展途上国が国際社会における代表権、発言権を強化することを強調し、G77加盟国の自立的発展能力を向上させる方向で西側中心の国際経済秩序の改革を訴えた。
朝鮮代表団団長の金先敬外務次官は、第1回南首脳会議が行われた時から20余年が経ったが、発展途上国の経済発展のための国際的環境は依然として改善されず、発展国と発展途上国間の不均衡的な開発の格差はいっそう拡大していると指摘した。
また、正義で公正な新たな国際経済秩序を樹立するために努力しなければならないとし、G77の加盟国が、発展途上国の正常な発展を妨げる不平等な国際経済秩序を早急に正し、集団的自力更生を掲げ、南南協力を積極的に推し進めることについて強調した。
朝鮮は建国以来、南南協力の実現に関心を寄せており、発展途上国における農業生産の自給自足など、社会経済的発展のために取り組んできた。
金先敬外務次官は、「朝鮮は、今後も南南協力の歴史的伝統を変わることなく継承し、人類共同の繁栄と持続的な発展を成し遂げるうえで自らの責任と役割を果たしていく」と南南協力に対する積極的な立場を表明した。
南首脳会議では他にも、国連安保理がパレスチナ・ガザ地区で起こっている紛争を終息させることを求め、イスラエルのガザ地区に対する封鎖の完全撤回を呼びかける最終文書が採択された。
朝鮮は、年末年始の重要会議で今後の対外活動の課題に言及している。
朝鮮労働党中央委員会第8期第9回総会(2023年12月26~30日)では、対外活動の領域を広げ、社会主義国だけでなく、米欧の覇権戦略に反旗を翻す国々との関係を発展させ、国際規模で共同行動を取る課題が提示された。また、金正恩総書記が最高人民会議第14期第10回会議で行った施政演説(15日)では、朝鮮が反帝自主を一貫した第一国策として掲げることが明確に打ち出された。
米国の一極支配が崩れ、多極化への流れが加速化する中で、新たな国際秩序の樹立に向け主導的な役割を果たす朝鮮の対外活動が今後も注目される。
(安鈴姫)