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「WARmericaの運命」上映会、東京で

2023年12月22日 17:40 文化・歴史 文化

米帝国主義没落の実相、赤裸々に

朝鮮戦争停戦70年に際し南朝鮮で制作されたドキュメンタリー映画「WARmericaの運命」(2023年、65分)の自主上映会が21日、東京都北区の北とぴあで昼夜の2回にかけて行われた。東京で初となった自主上映会に同胞、日本市民ら延べ約100人が鑑賞した。

映画「WARmericaの運命」のワンシーン(予告編からキャプチャ)

多極化時代に希望

ドキュメンタリー映画「私はチョソンサラムです」(2020年、94分)を手掛けた金哲民氏が監督を務めた同作品は、「1.WARmerica」「2.運命」で構成され、9月に作品が完成して以降、南朝鮮で約60回の上映会を開催。米国、ドイツなどの海外でも上映会が開かれ、来年には英語字幕を付して米国での上映会を本格的に進める。

本作品は、米国の一極支配の没落と新たな世界秩序が構築される多極化時代の様相を描いた。

作品は、1492年のアメリカ大陸の先住民に対する大量虐殺から一貫してきた米国の侵略と戦争の歴史と、第一次世界大戦以降、軍産複合体にコントロールされる米国が戦争で莫大な利益を得ながら一極支配を確立し世界一の好戦国となる過程、戦争犯罪の数々を暴く。さらに現在、米国の一極支配とドル覇権が崩壊し、共存共栄の多極化時代へと進む世界各国の動向や民衆たちの大規模デモ、それと反転するように格差社会が深刻化し、反社会的犯罪が絶えない米国内の危機を赤裸々に映し出した。

米国がウクライナや中東で代理戦を強行し、戦争か平和かという岐路に置かれている今の時代に一石を投じる本作品は、米一極支配時代の終焉と共に、朝鮮半島で戦争を終わらせなければならないという切実な課題を提起している。

作品には、停戦70年を迎え、世界に類例のない長期間の戦争体制が続く朝鮮戦争を一刻も早く終わらせ、平和協定の締結、朝鮮半島の統一を望む市民らの声が込められている。

また、朝鮮半島の平和を実現するためにはまず米国をよく知り、南朝鮮をはじめとする米国の侵略的支配秩序が及んでいる国で米国の壁を超えなければならないという制作者の強いメッセージが込められている。

上映後には行われたアフタートークに出演する李英哲さん(左)と事務局の朴英二さん

この日、上映後のアフタートークに出演した朝鮮大学校外国語学部の李英哲教授は、映画で描かれた米帝国主義の没落の実相を深堀りするとともに、米帝国主義と正面対決を続ける朝鮮の立場と行動、米国にいっそう追随する南・日、軍事化を進める日本の課題について指摘した。

李教授は、軍事、経済、政治のすべての覇権が弱体化する米国は、アジア版NATOの創設、朝鮮国連軍の再稼働などを目論み、同盟強化によって危機の克服を図ろうとするが、かつて欧米に支配されたり追随したりしていた国々は相互に連携を強化しながら覇権のない互恵平等の新しい世界秩序を築いていると言及。米国は新冷戦戦略により「民主主義対権威主義」の対立構図を先鋭化させるが、現在の国際情勢は本質的には「自主対隷属」の構図で捉えることができると説明した。

続けて李教授は、列強による二重三重の脅威から自国を守り、戦争を阻止するために自衛的国防力を蓄え、中ロをはじめとした国々に対する自主外交を展開してきた朝鮮こそが、世界の多極秩序への転換において決定的な役割を果たしたと指摘した。

翻って、世界的な地殻変動を意識すらできない日本では、他国の領域内を直接攻撃する「敵基地攻撃能力」保有に舵を切り、「隣人を攻撃しても良い」という100年前の関東大震災時の朝鮮人虐殺とまったく同じメンタリティー、構図が再現されていると警鐘を鳴らした。植民地支配責任、戦争責任を徹底的に抉り出し、歴史の責任を果たすことが日本に求められていると述べた。

映画を鑑賞した田辺三知子さん(73)は「米国という国がアメリカ大陸上陸当時から現在まで続く虐殺の歴史の上に成り立っていることを知ることができた」としながら、「沖縄、東京、神奈川など日本では米軍の基地化が著しく進んでいること、過去には朝鮮戦争、ベトナム戦争などに戦闘機を飛ばし、戦争に加担して、多くの人々を苦しめてきたことを改めて認識した。それと同時に朝鮮半島が今も停戦状況にある状況を再確認した」と話した。

今井治江さん(77)は「常に時代に不安を感じながら生きてきたが、世界の民衆が多極化の世界に向かって闘っているシーンを見て未来への希望が見えた」と語った。

「一言で衝撃的だった」と話す李未蘭さん(25、会社員)は映画が、「日本社会に埋もれていると見えてこない重要な問題を提起している」とし、「米国の覇権衰退の現状は知ってはいたが、映像というコンテンツを通じて、その事実を頭だけでなく直観的に捉えることができた。米帝国主義の歴史と現在が65分の作品に非常によく整理されており、一気に頭の中に入ってきた。映画で描かれた世界秩序の変化と民衆の闘いから、悲観していた朝鮮半島、統一をめぐる情勢への希望も得ることができた」と話した。

自主上映会の事務局では来年以降も各地での上映会の開催を呼びかけている。事務局の朴英二監督は「国際秩序が変わりゆく今の時代だからこそ観てほしい一作だ。特に若者たちにたくさん観てほしい。自主上映会は人数や場所に限らずどこでも行えるので、気軽に応募してほしい」と話した。

自主上映会に関する問合せは、urimovie.info@gmail.com(事務局)まで。

(金淑美、安鈴姫)

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