〈在日発、地球行・第3弾 9〉朝鮮が手がけた国家的記念碑/ジンバブエ
2023年12月15日 14:00 在日発、地球行
過去の連載記事はこちらから▶︎ 在日発、地球行・▶︎〈第1弾〉、 ▶︎〈第2弾〉、▶︎〈第3弾〉
正式名称:ジンバブエ共和国。首都:ハラレ。人口:約1680万人。国土面積:38.6万平方キロメートル(朝鮮半島の約1.75倍)。言語:英語、ショナ語、ンデベレ語など。民族:ショナ族、ンデベレ族など。渡航方法:朝鮮国籍の筆者は電子ビザを3日で取得(30$)。隣国モザンビークから鉄道に乗り陸路で入国。
後世へとつなぐ闘争の精神
ジンバブエ解放闘争の英雄たちが眠る「ナショナル・ヒーローズ・エーカー」の心臓部に着くと、どこか見慣れたモニュメントが悠然と立っていた。解放闘争で命を落とした闘士たちを象徴する「無名戦士の像」。その造りは紛れもなく、朝鮮の万寿台創作社が手がけたものだった。案内人の女性によると、ジンバブエ独立の翌年1981年9月に始まったこの地の建設事業には、万寿台創作社の芸術家、ジンバブエの技術者や労働者たちが携わったという。

ヒーローズ・エーカーの心臓部に立つ「無名戦士の像」。解放闘士たちはそれぞれロケットランチャー、銃、旗を持っている
ヒーローズ・エーカーは82年8月に完工して以来、解放闘争の歴史と精神を語り継ぐうえで重要な場となってきた。ここでは解放闘士の埋葬式や追悼式などの国家式典が度々行われ、毎年多くの学生や一般人、観光客らが参観に訪れるという。しかし、筆者が訪れたのは平日の午前8時過ぎ。周囲を見渡しても、参観者は自分ただ一人であった。
約5千人が座れる石段の客席から広場全体を写真に収めていると、広場を管理している男性スタッフが近づいてきた。かれが紙と筆記用具を持っているかと尋ねてきたので、メモ帳とペンを差し出した。すると、スタッフはおもむろにライフル銃と装備品を描き始め、その絵をヒーローズ・エーカーの全景と重ねてみせた。
〈在日発、地球行・第1弾 1〉聖地で見た現実/インド
〈在日発、地球行・第1弾 2〉「値切り戦争」勃発/ベトナム
〈在日発、地球行・第1弾 3〉ブラザーと立てた誓い/イラン
〈在日発、地球行・第1弾 4〉大自然に時を忘れ/モンゴル
〈在日発、地球行・第1弾 5〉一期一会に乾杯/カンボジア
〈在日発、地球行・第1弾 6〉美味、珍味に興味津々/グルメ編
〈在日発、地球行・第1弾 7〉灰となりガンジス川に/インド
〈在日発、地球行・第1弾 8〉肌で感じた朝鮮の「風」/モンゴル
〈在日発、地球行・第1弾 9〉死と隣り合わせで/カンボジア
〈在日発、地球行・第1弾 10〉中毒にご注意を/イラン
〈在日発、地球行・第1弾 11〉本当に「ズゲール」?/モンゴル
〈在日発、地球行・第1弾 12〉バックパックとプライドを背負い/一人旅で自問、再び出発点へ
〈在日発、地球行・第1弾 13〉異国の日常/写真特集
〈在日発、地球行・第2弾〉“人間の力強さ”を追いかけ/瞳の向こうに広がる風景
〈在日発、地球行・第2弾 1〉世界一過酷な地で見つけたもの/エチオピア
〈在日発、地球行・第2弾 2〉あの日を懐かしむアラフォー世代/エチオピア
〈在日発、地球行・第2弾 3〉朝鮮と国交断絶、民心はいかに/ヨルダン
〈在日発、地球行・第2弾 4〉暴虐非道にも折れぬ尊厳/ヨルダン
〈在日発、地球行・第2弾 5〉今も息づく先代の精神/キューバ
〈在日発、地球行・第2弾 6〉幾人もの「同志」現る/キューバ
〈在日発、地球行・第2弾 7〉抑圧と困難を生き抜く/キューバ
〈在日発、地球行・第2弾 8〉治安の悪さは世界一!?/ベネズエラ
〈在日発、地球行・第2弾 9〉いまだ革命の途上に/ベネズエラ
〈在日発、地球行・第2弾 10〉自分たちの運命は、自分たちの力で/ベネズエラ
〈在日発、地球行・第2弾 11〉海を渡れば「普通のこと」/ラオス
〈在日発、地球行・第2弾 12〉癒えぬ戦争の爪痕/ラオス
〈在日発、地球行・第2弾 13〉代えがたい豊かさ/ラオス
〈在日発、地球行・第3弾 1〉横たわる経済構造のジレンマ/モザンビーク
〈在日発、地球行・第3弾 2〉悠然と佇む金日成通り/モザンビーク
〈在日発、地球行・第3弾 3〉大国に与しない主体性/モザンビーク
〈在日発、地球行・第3弾 4〉銅像に見るアフリカの眼差し/モザンビーク
〈在日発、地球行・第3弾 5〉過去の希望と、今日の現実/モザンビーク
〈在日発、地球行・第3弾 6〉運命を共にした記憶/モザンビーク
〈在日発、地球行・第3弾 7〉搾取の歴史踏まえた評価/ジンバブエ
〈在日発、地球行・第3弾 8〉今なお残る人種隔離の遺産/ジンバブエ
〈在日発、地球行・第3弾 9〉朝鮮が手がけた国家的記念碑/ジンバブエ