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補助金再開を地域の力で/川崎初級が市民と学習会を開催

2023年12月07日 13:15 権利

旧鶴見幼稚園で2日、川崎初級が神奈川県内の有志らと合同で学習会を開いた。川崎初級の姜珠淑校長と神奈川県弁護士会の櫻井みぎわ弁護士が登壇したこの日の学習会は、新校舎建設事業を進める同校の現況を知らせ、朝鮮学校に対する県の不当な補助金制度除外について考える貴重な学習の場となった。

2日、川崎初級が日本市民と合同で学習会を開いた

児童たちは朝・日の架け橋

川崎初級の姜珠淑校長(左)と櫻井みぎわ弁護士が登壇した

2013年、神奈川県は朝鮮の核実験を受けて、「県民の理解を得られない」などを理由に、1977年から毎年支給し続けていた朝鮮学校への補助金を打ち切った。県は翌年、県内の外国人学校に通う子どもの家庭に直接学費を補助する制度を新たに導入。朝鮮学校の使用する教科書に、拉致問題を明確に記述することなどの意見を付して、朝鮮学校への学費補助を実質的に再開した。しかし、教科書改訂は教科書編纂委員会が行っており、神奈川朝鮮学園に教科書改訂の権限はない。学園側はこの裁量を受け、学校教育に副教材を用いた拉致問題の授業を取り入れたが、2年後、県は現代朝鮮史の教科書の内容を根拠に、「補助金の支給について市民の理解が得られない」ことを理由とし、学校法人神奈川朝鮮学園が当時運営していた5つの朝鮮学校(神奈川中高、横浜初級、川崎初級、南武初級、旧鶴見幼稚園)を同制度から除外。補助金を凍結した。

補助金の凍結以降、県内の朝鮮学校関係者と保護者らは、神奈川県庁前で補助金再開を訴える月曜行動や学校の公開授業、県弁護士会への申立てを通じた市長への警告など、行政と市民の双方に補助金の支給、朝鮮学校の理解を深めることを働きかけてきた。しかし、県の主張が変わることはなく、補助金が停止されて8年という月日が経った。

この日の学習会で登壇した川崎初級の姜珠淑校長は、県内にある朝鮮学校や川崎初級の沿革、同校の在校生の推移などについて紹介した。

学校の教育内容について説明した姜校長は、「朝鮮学校は、朝鮮語や朝鮮の歴史、地理を学ぶという特徴を持つが、算数などその他の授業科目については日本学校と差異が無い」とし、朝鮮学校が「ルーツを共有する子どもたちが共に民族の歴史や伝統、文化を学び、朝鮮人としてのアイデンティティを育むことができる唯一の場である」と、学校への理解を求めた。

また、3年前に始まった川崎初級の新校舎建設事業の進捗状況についても説明した。姜校長は、校舎の老朽化に伴い始まった事業が卒業生を中心とした地域同胞らの努力によって実現したことを強調。校舎の建て替えが「川崎の同胞たち、そして子どもたちの夢と希望になることを願う」と話した。

その後、昨年から川崎初級への給食ボランティアを行う日本の市民団体「トングラミ」の活動が紹介された。

姜校長は、補助金制度や高校無償化制度からの除外により、経済的な理由で朝鮮学校へ子どもを送ることができない家庭が増加していることに言及。「児童、園児たちは、朝・日の架け橋となる存在。かれらがよりよい環境で学ぶためには、公的な支援が不可欠だ。補助金再開を実現するために、地域の方々から力を借りたい」と呼びかけた。

「今後も、補助金の再開を行政に働きかけながら、1人でも多くの地域市民に学校への理解を促したい」(姜校長)。

補助金停止は「差別」

会場には川崎初級の沿革を振り返る写真が展示された

学習会は、県内の日本人有志らが企画した。このような補助金の支給再開を求める学習会の開催は、神奈川県内では初めての試みだった。

東京では今年2月、神奈川県の朝鮮学校と同じく、都の公的補助から除外されている都内朝鮮学校の関係者らと支援団体が「朝鮮学校に東京都教育補助金の復活を!2.10要請書提出報告集会」を開いた。

都での集会の知らせに触れた秋山真也さん(47、実行委代表)は、県内でも同様の会を開くことを目的に学習会実行委員会を立ち上げた。これまでも、月曜行動や「トングラミ」での活動を通じ、県内の朝鮮学校のために声を上げてきた秋山さんは「在日朝鮮人への差別は日本人の問題だ」と力を込める。「学習会を開くために、当事者である朝鮮学校から大きな力を借りてしまったが、本来なら日本人が先頭に立つ必要がある。子どもたちの最善の利益のために、広い視野で行政に訴えていく」(秋山さん)。

学習会の後、川崎初級の現校舎(旧鶴見幼稚園)の見学会が開かれた

この日、東京都府中市から足を運んだ日本人男性は「内容が濃く、良質な学習会だった。補助金の凍結は歴然とした差別だ。差別を無くすために、自分にできることを探していきたい」と力を込めた。

本郷文化フォーラムワーカーズスクール(HOWS)の会員である友田幸枝さん(75)は、「朝鮮学校の教育について、初めて知ることが多かった。朝鮮学校をとりまく差別は、日本植民地主義の歴史に起因している。まずは知ることから始め、身近なところから朝鮮学校の現状を周知していきたい」と語った。

(朴忠信)

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