〈関東大震災朝鮮人虐殺100年〉国会で追及つづく
2023年11月21日 11:00 歴史関東大震災時の朝鮮人虐殺を巡り、日本政府に対する国会議員らの追及が続いている。
9日の参議院法務委員会では、松野博一官房長官が「政府内に事実関係を把握できる記録が見当たらない」(8月30日)と表明したことについて、社会民主党の福島みずほ議員が質問した。福島議員は、当時の中国人虐殺に関する文書が、外務省外交史料館に公文書として残されていることについて確認したうえで、先の松野官房長官の発言は「虚偽ではないか」と問いただした。これに対し、小泉龍司法務大臣は、「(発言は)従前からの政府見解を述べたものと認識している。法務大臣としてもこれと同一の見解であり、それ以上の評価、所感を述べることは困難」だと、論点をすり替え回答した。
また福島議員は、今年9月、市民団体が公開した資料についても言及。これは、当時の朝鮮人虐殺の状況を内務省へ報告した神奈川県作成の文書とみられるもので、同資料の存在を知っているかとの福島議員の問いに、政府担当者は「各省が管理する文書ではないため確認していない」と居直った。
また同日の参議院内閣委では、立憲民主党の石垣のりこ議員が質疑を行い、虐殺の事実をうかがわせる国立公文書館所蔵の内閣閣議決定文書について、答弁の場で「政府としてその事実内容がわからない」と表明した官房長官および国家公安委員長に対し「閣議決定文書を認めないというのは大問題ではないか」と非難した。
17日には、同様の質疑が参議院災害対策特別委員会であった。立憲民主党の杉尾秀哉議員の追及を受け、政府関係者は、100年前の虐殺発生当時、警察を所管した内務省警保局長が、地方長官宛に送った電信文(防衛省防衛研究所)など、各省庁に保管されている資料を、公文書管理法上の「特定歴史公文書」にあたると認定した。これは、後世へ歴史を伝えるための重要な文書として、原則、永久保存を基本とする文書だ。
朝鮮人虐殺を示す資料を「特定歴史公文書」と認めながらも、事実関係やその内容には言及できないとする日本政府の対応に対する非難が高まっている。
(賢)