〈第45回コマチュック〉競技を円滑に進めた審判員たち【動画】
2023年11月14日 16:43 スポーツ
競技を円滑に進めるうえで欠かせないのが審判だ。第45回コマチュック大会では、審判員の資格を有する同胞審判員、各地サッカー部の教員らが審判を受け持った。
在日本朝鮮人サッカー協会技術部・審判組に所属している金玄虎さん(37、2級※)は、審判として大会に携わって今年で18年目を迎えた。これまでコマチュックや学生中央体育大会など、各カテゴリーで笛を吹いてきた豊富な経験を持つ。
成長段階にある初級部の選手たちは、体格にばらつきがあるため、接触や球際のプレーにおいて「体格の差によって転倒したのかあるいは、故意によるものなのかを見極めながら競技を保障することを心がけている」という。審判が選手たちにとってプレーしやすい環境を築くことで競技の水準も高まると強調する。
「経験則からこの展開はここにボールが流れるだろうと予測していると、いつの間にかボールが自分をめがけて飛んできたり、予測とは反対に進むことが多い。試合の流れを止めないことを常に意識している」
こう話すのは、金さんと同じく2級の資格を有する李貴浩さん(32)。時には指導者、保護者らが興奮し、審判の判断に異を唱えることも少なくない。李さんは「そのような独特な雰囲気、プレッシャーを楽しみながらピッチに立っている」と笑う。「審判は目立たないのが1番。何事もなく試合終了のホイッスルを吹いたときが審判としてのやりがいを感じる瞬間だ」(李さん)。
金玄虎さんは今後、在日本朝鮮人サッカー協会と協力しながら、各地の朝鮮中高級学校や朝大の選手、教員たちを中心に、年間を通じて審判のスキルを高める講習、セミナーといった枠組みを設けることを構想中だという。その一環として、今大会では指導者を志す朝大生が審判を務め、経験を積んだ。
「プロサッカー選手を目指す選手が存在するのと同様に、ウリハッキョからJリーグの審判員を務めたり、ひいては朝鮮を代表する国際審判員の資格を取得する人材を輩出できるよう、さまざまな取り組みを行っていきたい」(金さん)
(文・全基一、写真・盧琴順、映像・林里香)
※北海道、東北、関東、東海、北信越、関西、中国、四国、九州の9つの地域の日本のサッカー協会が主催する大会で主審及び副審を務めることができる