〈読書エッセー〉晴講雨読・心が和む画集『高句麗今昔を描く平山郁夫展』/任正爀
2023年08月30日 09:00 寄稿朝鮮大学校創立25周年に際して建てられた記念館には、朝鮮自然史博物館と朝鮮歴史博物館とが設けられている。このテーマによる日本では唯一の博物館で、ここでしか見られない貴重な展示品も多い。例えば、自然史博物館には朝鮮虎や前回紹介したシベリアムクドリのはく製もある。ちょっと変わったところでは、抗日パルチザンたちが用いた薬用植物の標本集もある。歴史博物館には古朝鮮独自の青銅文化を実証する琵琶型短剣もあり、館長の河創国教授によれば一般展示されているのはおそらくここだけということである。
しかし、何といっても白眉といえるのが、高句麗壁画の原寸大の精巧な模写である。それらは1985年に日本で「高句麗文化展」が開催された際に朝鮮から送られてきたもので、その時の「広開土王陵碑」の原寸大のレプリカも図書館脇に置かれている。ちなみに大丸デパートでの開催時には東京駅八重洲口にこのレプリカが置かれ、道行く人たちの目を惹いた。
筆者もしばしば内外の研究者を案内するが、なかでも江西大墓、中墓に描かれた青龍・朱雀・玄武・白虎の四神図の前では誰もが立ち止まり記念撮影を行う。それは、そのスケールの大きさと芸術性の高さに圧倒されてのことである。
周知のように