例外的な「在留特別許可」、入管法改悪に再批判
2023年08月10日 16:43 社会を知る~今週のnewsトピック~日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。(※次回の配信は8月23日(水)になります。)
例外的な「在留特別許可」、入管法改悪に再批判
斎藤健法相は4日、記者会見を開き、日本で生まれ育った在留資格のない18歳未満の外国籍の子どもに対し、一定の条件を満たせば、法相の裁量で「在留特別許可」(在特)を例外的に付与する方針を公表した。
出入国管理庁によると、昨年末時点で送還忌避者は4233人おり、その内、在留資格がない18歳未満の子どもは200人以上に上る。約140人の子どもが対象となる見通しで、外国籍の子どもたちに対する制限が緩和される一方で、支援団体や識者からは「制度の基準が厳しすぎる」「より人道的な配慮をするべき」との声も上がっている。
難民をめぐっては、難民申請の回数上限を減らし、強制送還制度を導入した改正入管難民法(6月9日に成立)に対し、制度の問題点を指摘する声や、批判などが相次いでいる。
ムスリム土葬墓地建設へ差別的意見
大分県別府市の「別府ムスリム協会」は、宗教上、土葬以外の埋葬法を禁止されていることから、イスラム教徒を土葬するための専用の墓地を、日出町に整備する計画を2018年から進めてきた。そして今年5月、同協会と地元住民との間で、設置条件に関して正式に合意に達した。
報道によると、双方の合意の一方で、近隣住民や隣接する市の住民からは、同町に対し計画を反対する意見が電話やメールで寄せられ、その中には「イスラム教徒は話が通じない」「移民が増え、日本が乗っ取られる」などといった宗教差別や、墓地建設に対する根拠のない風評被害を助長するヘイトスピーチも含まれた。これに対し、識者らは「自治体も、差別を批判する姿勢を取るべきだ」と指摘している。
ムスリムにとって土葬は遵守すべき教義であり、99%が火葬を行う日本において、埋葬方法で苦労するイスラム教徒も少なくないという。多文化共生の意識が求められる今日において、他宗教の文化を受け入れない外国人排斥の風潮は、依然として課題が残る。
『バービー』炎上、被爆強調の言説に憂慮
7月21日に米国で映画『バービー』(11日、日本公開)が公開されて以降、同日公開された米・映画『オッペンハイマー(原題:Oppenheimer)』と同作品を紐付けた、原爆を揶揄する多くのSNS投稿が相次いだ。これに対し、映画の公式SNSアカウントが肯定的な反応をしたことから、日本人ユーザーから批判が殺到した。
映画の配給元であるワーナー社は一連の流れに対し、「配慮の欠ける反応だった」と謝罪。しかし、その後も日本国内では「加害者側である米国内の原爆に対する認識の低さに不安を感じた」「謝って済む話ではない」など、批判の声は止まない。
一方で、日本国内の批判に見られる、「日本は唯一の被爆国であり、被害者である」といった言説を強調する姿勢に対し、有識者からは「極端に政治的で、ナショナリズムの点火剤になり得る批判がある」との指摘があがっている。
また、「唯一の被爆国として原爆の悪を訴えるなら、自国の加害の歴史を真摯に反省することは絶対条件」という見方を示された。
(朝鮮新報)