〈学美の世界55〉澄んだ眼に映る世界と未来/成明美
2023年08月02日 18:30 文化・歴史見えるものも見えないものも感じたまま形にし、作品を産み出すあふれんばかりの力。日々の生活の中で見て聞いて感じたことを五感で捉え、そこから見えたことや浮かんだ物、情景を表現する子どもたちの斬新で豊かな感性には、いつも驚かされ学ばされる。子どもたちは、理不尽な異国の風も、人々を脅かしたパンデミックの脅威も、ものともせず日常として受け止め、制限された窮屈さを新しい発見と楽しさに変え、活き活きと形にする。
作品①には、木々がうっそうと茂る森に笑顔いっぱいの壁が描かれている。その壁の向こうに楽しい場所があるのだろうか?それとも、この「楽しい壁」が作者のゴールなのだろうか?
青々と覆われた枝葉、遠くに小さく見える山並みから、ここが深い山の森の中だと思われる。勢いに任せ迷いなく描かれ、塗りたくられた筆致からは、作者が思いのままに楽しみながら一気に筆を進める微笑ましい様子が伺える。