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サッカー界の人種差別行為が物議

2023年06月01日 10:19 社会を知る~今週のnewsトピック~

日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。

サッカー界の人種差別行為が物議

現地時間5月21日に行われた、スペインサッカー1部リーグのバレンシア対レアル・マドリードの1戦で、レアル・マドリードに所属するヴィニシウス・ジュニオール選手(22、ブラジル代表)が相手サポーターから人種差別を受けたことが問題となっている。

この日の試合では、同選手に対し差別発言やチャント(観客が声をそろえ歌う歌)が行われ、それに激昂した同選手が退場処分を受ける始末となった。これまでも、スペインサッカー界では黒人選手などに対する人種差別行為が問題視されてきたが、スペイン国内の人種・民族差別問題に対する意識の低さが再び露呈した。

試合後、ヴィニシウス選手は自身の公式ツイッターで「ラ・リーガ(同リーグ名)は人種差別主義者のものとなってしまった。連盟(スペインサッカー)も対戦相手も差別行為を奨励している」と差別行為とリーグ側の対応を非難した。

また、今回の1件を受け、レアル・マドリードのライバルチーム、バルセロナのチャビ・エルナンデス監督(43)と、イングランド1部リーグのマンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督(52)がそれぞれコメント。チャビ監督は「どうやら私たちは進歩していないようだ。私たちは人種差別を根絶するために力を尽くさなくてはならない」と発言。ペップ監督は人種差別がスペインだけの問題ではないとしながらも、母国スペインが人種差別撲滅のために適切な措置を取れるかどうかについて「楽観的にはなれない」と吐露。「多くの黒人が、守らなくていいものを守るために、守るべきでないものを守るために前に足を踏み出している。司法がかれらの助けになればいいが、一方で『スペインで何かが変わるのだろうか?』とも思う」とスペイン国内での差別の深刻さを語った。

一方でブラジルでは同27日、国内1部リーグのフラメンゴ対クルゼイロの1戦で、ヴィニシウス選手の古巣であるフラメンゴの提案により試合開始から35秒間、ピッチ上の選手と審判による異例の座り込みが行われ、同選手への連帯と人種差別に対する反対の意が示された。

サッカー界の差別問題を巡っては、日本のJ1リーグでも、2014年3月の浦和レッズ対サガン鳥栖戦で、浦和レッズの一部サポーターが掲げた「JAPANESE ONLY」と記した横断幕が差別行為とみなされ大きな問題となった。また、翌年にも同チームサポーターの高校生が、相手チームの黒人選手に対しSNS上で「黒人死ねよ」と投稿するなど、外国人選手に対するサッカー界での差別行為は対岸の火事ではない。

ウトロ、市営住宅2期棟が完成

在日朝鮮人の集住地である京都府宇治市のウトロ地区に市営住宅2期棟が完成した。

1989年にウトロ地区の居住者たちが土地の地権者から立ち退きを求められて以降、在日同胞の闘いとそれを支えた南市民らは住環境の改善事業を推し進めてきた。

2017年末に市営住宅1期棟が建設され、ウトロ地区に住む約60世帯のうちの40世帯が1期棟に入居した。この度完成した2期棟には、5月末から残りの世帯が入居をスタート。今回の入居で、立ち退きを迫られていたウトロ住民すべての入居が完了することになる。

総連京都・南山城支部の金秀煥委員長は、第2期棟の完成を受け「長きに渡り同胞たちが闘ってきた歴史的実践の結果であり、とても感慨深い。同胞たちが民族的結び付きをより深め、安心して生活できるような地域にしていきたい」と語った。

入管法改正案巡り参考人が発言

出入国監理及び難民認定法(入管難民法)改正案と関連し5月23日、参院法務委員会の参考人質疑が行われ、阿部浩己教授(明治大学院)が参考人として発言した。

阿部教授は、日本政府が法改正が必要な根拠として「難民を探して認定したいと思っているのにほとんどみつけることができない」と主張した難民審査参与員の発言に対し「ほとんどいないということはまったくない」と非難。自身が参与員だった経験から、参与員間で国際基準を踏まえた難民認定の手法が共有されていないことを問題にあげた。

また、その後行われた記者会見では難民認定申請時に弁護士など代理人の立ち会いが認められていないことについて「出入国在留管理庁は真に庇護されるべき人を庇護していない。難民認定制度の根本的な見直しが必要だ」と語った。

同25日にはトルコ国籍のクルド人男性であるラマザンさん(25)が参考人として招かれ、胸中を訴えた。

ラマザンさんは9歳のときに家族と来日し、日本で難民としての保護を求めるも認められず、仮放免のまま高校を卒業。在留資格がないことから英語の専門学校への入学と通訳の夢を断念した。2021年に国を相手に提訴し、在留特別許可を得た。

ラマザンさんは参院法務委で「法案が通ったら、家族が送還され、一家がバラバラになってしまう。私たちの立場になって考えてください。難民の命と人生を守ってほしい」と訴えた。

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