反植民地主義への社会的合意を/関東大震災虐殺100年、学習会
2023年03月30日 16:00 歴史「関東大震災朝鮮人虐殺100年―虐殺犠牲者の追悼と責任追及の行動」実行委員会(以下、実行委)が主催する学習会「過去を乗り越え、朝鮮半島と日本の和解へ!」が3月28日、東京・千代田区の連合会館で行われた。フォーラム平和・人権・環境など朝・日の団体メンバー、同胞、日本市民ら 120余人が参加した。実行委は、今年9月に関東大震災朝鮮人虐殺100年を迎えるにあたり1月27日に発足した。
学習会ではまず、実行委の藤本泰成事務局長(フォーラム平和・人権・環境共同代表)があいさつに立った。
藤本事務局長は、石川啄木が1910年の「韓国併合条約」締結後に読んだ和歌三十四首「九月の夜の不平」の内容を紹介し、啄木が朝鮮を植民地化した国家権力への批判精神、日本社会への閉塞感を抱いていたことについて言及。そのうえで、啄木が生きた時代から今日までつづく日本社会の植民地主義について強調しながら、関東大震災朝鮮人虐殺100年を迎える今年に植民地主義を克服し、市民たちが社会の変革を担っていこうと呼びかけた。
つづいて、ドキュメンタリー映画「払い下げられた朝鮮人」(86年、呉充功監督)が上映された。同映画には、関東大震災後に千葉県の習志野収容所で起きた朝鮮人虐殺が、当時加害と被害の側に立った生存者の証言を通じて描かれている。
上映会後に登壇した呉監督は、制作過程のエピソードを交えながら、虐殺の犠牲者たちの記録や名簿が残されていないのは、国家が虐殺の事実を隠蔽しようとしたからであると指摘。歴史否定の動きが増す日本社会の現状に触れ、「100年前のような流言蜚語を繰り返さないためにも、犠牲者たちの記録を掘り起こし、かれらの記憶を多くの人々に届けたい」と語った。呉監督は過去10年間に南朝鮮で遺族らの証言を記録し、自身3作目となる映画を製作中。映画はまもなく完成し、5月下旬に上映会が行われる予定だ。
最後に、明治学院大学の鄭栄桓教授が、「関東大震災時の朝鮮人虐殺−否定論の批判的検証」と題して、講演を行った。
鄭教授ははじめに、昨今の日本社会で拡大している「虐殺否定論」は、90年代後半から本格化している右翼・排外主義団体や言論による日本軍「慰安婦」問題への歴史修正主義的反発と文脈を共有していると指摘。在日朝鮮人の歴史及び現在の在り方に密接に係る点で、関東大震災下の朝鮮人虐殺問題は特殊性を有していると、問題認識の重要性を強調した。