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フィリピンの元日本軍性奴隷制被害者が死去

2023年03月30日 14:01 社会を知る~今週のnewsトピック~

日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。

フィリピンの元日本軍性奴隷制被害者が死去

元日本軍性奴隷制被害者のヒラリア・ビレイ・ブスタマンテさんが4月18日、死去した。享年97歳。

ブスタマンテさんは1943年、田んぼでの作業を終えたころ、日本軍の暴行を受け、トラックに乗せられた。1時間ほど走った先にあるニッパハウスに監禁され、45年まで日本軍の性奴隷として働かされた。17歳だった。

解放後は家に帰ったが、家族や夫にも自身が性奴隷制被害者であることは話さなかったという。

一方、93年に行われた日本政府の謝罪と賠償を求めた裁判では原告として名乗り出て日本軍の責任を厳しく問い、謝罪と賠償を求め闘い続けた。

千葉でヘイト条例成立、川崎でも進歩

千葉県流山市で人種、国籍、障害の有無、性自認、性的指向などに基づく差別を禁止する「多様性を尊重する社会の推進に関する条例」が成立した。3月22日の定例市議会本会議で条例案が可決。4月から施行される。

県内で差別を規制する条例が成立したのは同市が初めて。第4条で「多様性による不当な差別的取扱いにより、他人の人権を侵害してはならない」ことや「情報の発信に当たって、多様性を背景とする不当な差別的取扱いを助長することのないよう十分に配慮しなければならない」ことなど、差別対応を禁止する旨がうたわれている。

一方、神奈川県川崎市では「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」の解釈指針が一部改正された。

同市は現在ネット上のヘイトスピーチ対策に取り組んでいる。これまで「特定の市民等」に向けられたものを規制の対象にしていたが、新たに「○○地区に住んでいる△△人」など、▼市内の特定の地区に住む人々▼特定の事業所で働く人々▼特定の学校で学ぶ人々も「特定の市民」に該当するとした。

死体「遺棄」問われた技能実習生に無罪

熊本県の自宅で死産した双子の遺体を段ボール箱に入れるなどして遺棄したとして、死体遺棄罪に問われたベトナム国籍の元技能実習生レー・ティ・トゥイ・リンさん(24)の上告審で、最高裁第二小法廷(草野耕一裁判長)は3月24日、無罪とする判決を言い渡した。リンさんを有罪とした一、二審判決が覆され、逆転無罪が確定した。

リンさんは2020年、死産した双子の遺体をタオルに包み、「天国で安らかに眠ってね」などと書いた手紙を添えて段ボール箱に入れた。さらに白い箱の中に入れ棚の上においていた。翌日、リンさんは死産したことを病院に告げた。

一、二審ではリンさんの行為が「宗教感情を害する行為で死体遺棄の罪が成立する」と判断したが、最高裁は「習俗上の埋葬と相いれない行為とは言えず、『遺棄』には当たらない」と無罪を言い渡した。

当時技能実習生だったリンさんは、退職などを恐れて妊娠を打ち明けられずにいた。技能実習制度は妊娠・出産を理由とした不当な解雇を禁じているものの、出入国在留管理庁の調査によると、昨年は約26%の実習生が「妊娠したら仕事を辞めてもらう」などと脅しを受けていたことが明らかになっている。今回の事件は実習生を孤立させる構造が背景にあり、弁護士らをはじめ市民社会では技能実習制度の廃止を求める声があがっていた。

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