〈朝鮮の国際情勢認識〉“対米追従からの脱却を”
2023年01月23日 13:10 対外・国際昨今の国際関係で新冷戦の構図が深まる中、朝鮮は対外政策において自主的な立場を堅持している。激動する国際情勢を朝鮮はどのように捉えているのか。朝鮮外務省が発信する談話や関係者の見解、国内メディアの報道などを通じて探る。
アジア諸国で反政府支援/米欧の内政干渉を排撃
10日、朝鮮-アジア協会のカン・ウォン会員は朝鮮外務省HPに、カンボジアとバングラデシュにおける欧米の内政干渉行為に関する記事を投稿している。
カンボジアとバングラデシュでは、それぞれ今年7月と来年1月に国会総選挙を控えているが、米国と西側諸国は両国の反政府勢力らを積極的に支持している。
カンボジアでは、駐在EU大使が、「表現の自由」「民主主義的参与」などの名目のもとで行われている反政府団体の活動に200万ユーロを支援すると発表。バングラデシュでは、米国、英国、EU、日本をはじめとした西側諸国15カ国の大使館が声明を通じて、バングラデシュ政府が自由で公正で包括的な選挙と、そのための自由な集会を保障することを要求した。
「外交関係に関するウィーン条約」(1961年採択)では外交官たちが駐在国の法と規定を尊重し、内政に干渉してはならないと明示されている。カン会員は記事で、「米国と西側諸国は国際法を無視し、内政干渉に躍起になっている」と述べ、その目的は、バングラデシュとカンボジアの親米勢力による反政府活動を煽り、政治的に不安定な状況を作り上げることで、両国政府が自主的で独自的な対内外政策を行えないようにすることにあると指摘した。
当該国は米欧の内政干渉行為を排撃し、主権尊重を訴えている。
バングラデシュ外務相と外務担当国務相は、指導者選出は陰謀勢力や外部勢力ではなくバングラデシュ人民自身が決定することであると強調し、西側諸国の外交官たちがバングラデシュがどの国にも従属しない自主的な国家であることを肝に銘じなければならないと主張した。
カンボジア司法省代弁人は、EUがカンボジア国会総選挙を控え、反政府団体として知られる民間団体のみ財政的に支援していると述べ、その動機と目的は何かと憂慮を示した。その上で、EUは他国の法を尊重し、内政に干渉すべきではないと強く求めた。
対米依存による欧州危機/独自政策の不可欠性を指摘
朝鮮-ヨーロッパ協会のソン・ウジン研究士は朝鮮外務省HPに投稿した18日付の記事で、米国に追従するヨーロッパの経済危機について言及しながら、「独自の対外政策だけがヨーロッパの唯一の選択だ」と主張している。
ヨーロッパは現在、インフレ率が40年ぶりの高さを記録し、史上最悪のエネルギー危機に陥っている。住民たちは物価上昇により苦しい生活を送っていて、工場や商店などが廃業に追い込まれている。経済危機から抜け出す方法の一つは、対外貿易の多角化である。「しかし、ヨーロッパは米国という『検閲官』の顔色を窺い、解決策の実施を躊躇している」と、ソン研究士は皮肉をこめて指摘している。
米国が主導するNATOの東方進出が引き起こしたウクライナ事態が長期化する中、米国はEUとヨーロッパ諸国を泥沼に引き込んでいる。「安保危機、経済危機、エネルギー危機に陥いるヨーロッパを尻目に、米国はウクライナ事態を商機と捉え、大きな儲けを得ている」というのがソン研究士の見解だ。
この分析は、米国メディアの報道に基づいている。
先日、米国のブルームバーグ通信が報じたように、ヨーロッパはロシア産ガスの輸入を放棄したことで1兆ドルに達する損失を負った。反対に米国は、国内販売価格の4倍もの額でヨーロッパ諸国に液化ガスを売っている。また、米国の時事評論誌フォーリン・ポリシーが発表した資料によると、米国によるNATOメンバー国への2022年武器販売額は前年比2倍に増加。米国軍需工業体は記録的な利潤を作り出し、多くの企業の株式価格が歴史上最高水準に暴騰しているという。
ソン研究士は「ヨーロッパ諸国を犠牲にしてでも、中国の急速な経済成長を抑制、弱体化させようというのが、米国の腹の内だろう」と米国の対欧政策の本質を突く。
中国との貿易額は、ドイツが2350億㌦、オランダが1千億㌦、フランスが8百億㌦。これらヨーロッパ諸国が産業チェーンから中国を排除し、中国市場を拒否するということは、経済的自殺行為に他ならない。しかし米国は、ドイツに対してハンブルク港(ヨーロッパの3大港の一つ)への中国の投資を遮断し、オランダに対して中国への半導体製造装備の輸出を制限するよう、それぞれ圧力をかけている。
ソン研究士は「EUとヨーロッパ諸国は米国の魂胆を見抜き、1日も早く対米依存から脱皮しなくてはならない」と警鐘を鳴らしている。
(朝鮮新報)