短編小説「鉄の歴史」9/ビョン・ヒィグン
2023年01月07日 09:00 短編小説「じっとしていられないんですよ。将軍さまが政治を治めなくちゃ、わしらのような貧乏労働者の暮らしはよくなんねえという話ですだよ。将軍さまさえいらしてくださりゃ、わしらは、昔とちがって思いきり働けるという話だで。わしらとしちゃ、将軍さま以外にたよりにできるお方はいねえだよ。日本帝国主義の時代でさえ、金日成将軍の話といやあ、子どもたちだって知ってたくらいだで。あの頃もそうだったけんど、今も工場の仲間たちときたら、将軍さまのお帰りを首を長くして待ちわびておりますだよ。それに、困ったことには、仲間たちが一人ぬけ二人ぬけしてどんどんやめていくし、このままでは、やつらのいうように、この工場は永久に動かなくなっちまうだよ」