〈高校無償化〉東京朝高生らが要請、「朝鮮人として堂々と生きられる社会を」
2012年12月12日 14:52 民族教育東京、千葉の朝鮮学校関係者らが文科相に署名など提出
東京朝鮮中高級学校の生徒、教職員、保護者代表と東京朝鮮学園の代表らが11日、文部科学省を訪れ、朝鮮学校への「高校無償化」即時適用を求める4万人分の署名と要請書を首相、文科省宛てに提出した。また7日には、千葉県の朝鮮学校関係者と保護者、商工会代表らが文科省を訪れ、1万2千人分の署名と要請書を首相、文科省宛てに提出した。
提出された署名は、日本全国の朝鮮学校生徒、教職員、保護者をはじめとする在日同胞と日本市民らが今年6月から集めた30万人分の署名の一部。署名した人の約3分の2が在日同胞で、残りは日本人と他の外国人だ。一方、制度施行と同時に朝鮮学校だけが除外された2010年4月以降、全国で集まった署名の数は100万筆を超えた。
東京中高関係者らが提出した要請書は、「高校無償化」制度の理念や「外交上の配慮などにより判断すべきものではない」とした日本政府の統一見解に反し、今なお朝鮮学校だけを除外し、差別し続けていることは、極めて無責任で不当だと指摘。「未来への希望に胸を膨らませる学生たちが社会に旅立つ卒業式を、制度から除外されたままという無念さに包まれた卒業式にする資格は誰にもない」とし、1日も早い制度適用を求めた。
来年3月に卒業を控える鄭洸賢さん(高3)は、「朝鮮高級学校に入学して3年間、朝鮮学校だけが制度から除外され悔しい思いをしてきたが、後輩たちにはこれ以上つらい思いをさせなくない。後輩たちが署名運動やデモをせず、好きなことを思う存分できる環境に、朝鮮人として胸を張って生きられる社会にしてほしい」と訴えた。
同校高2の崔恵蓮さんは、「朝鮮学校を理解し協力してくれる日本人とたくさん出会ったが、暴言を浴びせられたこともある。朝鮮学校にだけ『無償化』が適用されないことで、差別を感じる。私たちは朝鮮人として堂々と生きたい。学ぶ権利はすべての人に平等に与えられるべきだ。すぐに適用してほしい」と求めた。
同校オモニ会の韓英淑副会長は、「日本で体系的に民族教育を行うのは朝鮮学校だけ。在日同胞にとっては宝物だ。でも、どんなに訴えても、政治家の一言やマスコミの記事一本で覆されてしまう。日本政府が朝鮮学校だけを除外したことで、あきれるような偏見や誤解が広がってしまった。朝鮮学校について知るために働いている文科省が、その誤りを正すように働きかけてほしい」と訴えた。
審査の進捗状況についての質問に対し、応対した文科省職員は、「審査中なので具体的な内容は言えない」と従来の応答を繰り返したが、審査の遅延によって、生徒や保護者が一層苦しめられていることを重く受け止めている様子だった。
一方、千葉の朝鮮学校関係者が提出した要請書は、「朝鮮学校が『高校無償化』制度の対象から除外され、生徒の人権そのものが侵害される深刻な状況の中、千葉県を含む一部の地方自治体では、朝鮮学校への教育助成金をもストップさせるという由々しき事態が起きている」などと指摘した。
代表らは、「制度から除外されたことで親は『給付なし、控除なし』の二重の税差別を受けている」「朝鮮学校だけ除外することは民族差別以外の何ものでもない。子どもたちは犠牲者だ。文科省は教育理念を貫き、今年中に適用を決断してほしい」と訴えた。
(李泰鎬)