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「11・3憲法大行動」、国会前での集会に4,200人/朝大生も発言

2022年11月08日 15:49 民族教育

戦前のありさまと今を問う

日本国憲法の公布日である11月3日、国会正門前では、憲法理念を基本に、個人の尊厳が守られる社会のあり方を求めた抗議集会「11.3憲法大行動」(主催=戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、9条改憲NO!全国市民アクション)が行われ、国会議員や各地から集まった日本市民ら約4,200人(主催者発表)が結集した。

はじめに、主催者を代表し、フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)の藤本泰成共同代表があいさつした。

藤本共同代表は、「日本社会のあり方が不穏な状況にあるとき、私たちはその時代を、戦前のありさまを問わなくてはならない」と述べたうえで、前日2日にあった在留資格のない外国人らによる集会と省庁交渉について言及。日本で生まれ育ちながらも仮放免状態にある当事者の声を紹介しながら「外国人にこれほど排他的な国があるのか。この国に生きるすべての人々が人間らしく生きていける社会を目指したい」と参加者たちへ呼びかけた。

主催者を代表し、フォーラム平和・人権・環境の藤本泰成共同代表があいさつした。

既報の通り、朝鮮は今月2日から5日にかけて、米・南連合空中訓練「ビジラント・ストーム」への対応措置として、ミサイル発射などの軍事作戦を敢行。藤本代表は、これに言及し、「朝のテレビ報道は常軌を逸したものだった。米韓日の合同軍事演習に触れることなく、朝鮮ばかりを批判し、対話の道を探ろうともしない」と指摘した。

さらに「(日本政府は)朝鮮や中国を軍事的な脅威と宣伝し、防衛費の増額、敵基地攻撃能力の保有、軍事力の増強を目論んでいる。私たちの命を守るためではない、すべてはそのためのJアラートだ」として、昨今の緊迫する東アジア情勢をめぐる日本政府の対応を厳しく非難した。またこれと関連し、各地で発生した朝鮮学校に通う児童・生徒らへの暴言、暴行事件についても触れ「植民地政策の犠牲となり、この国に住まわざるを得ない、なんの罪もない朝鮮学校の生徒に嫌がらせをするのはもってのほか」だと訴えた。

改憲反対のプラカードを掲げる参加者

つづいて、社会民主党の福島みずほ参院議員、立憲民主党の水岡俊一参院議員、日本共産党の田村智子参院議員、沖縄の風の伊波洋一参院議員(メッセージ代読)、れいわ新選組の櫛渕万里衆院議員から発言があったのち、メインスピーカーとして、杉浦ひとみさん(安保法制違憲訴訟共同代表・弁護士)、永山茂樹さん(東海大学教授・憲法学)、古今亭菊千代さん(落語家・芸人9条の会)が順に登壇した。

永山茂樹さんは、外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略(NSS)」など安保関連3文書の改定を進める日本政府を非難。「このままだと世界第3位の軍事予算を持つ国になる」と声を大にし、大軍拡予算の正当化に反対していこうと訴えた。

また古今亭菊千代さんは、朝鮮のミサイル発射を受け頻発したヘイトスピーチ・クライムと関連して、「この国に暮らす在日朝鮮人の子どもたちがいじめられるのを、私たちは見て見ぬふりはしてはいけない」と強調した。

加害責任回避がヘイトの原因

その後、国会周辺では、エリア別に同時行動が行われた。衆院第2議員会館前での集会(主催=「戦争をさせない1000人委員会」)には朝大生が参加。在日朝鮮人への差別問題について思いを語った。

集会には朝大生も参加し、在日朝鮮人への差別問題について思いを語った。

大勢の観衆の前でマイクを握った李亜耶さん(政治経済学部法律学科3年)は、「朝鮮学校に通い、民族教育を受けてきた過程は、自分が日本で生まれ育ちながらも朝鮮人であるという民族的アイデンティティを確立する過程だった。しかしそれと同時に、朝鮮人としてのルーツを大切にしようとすればするほど、在日朝鮮人であるがゆえの生きづらさを感じる過程でもあった」と吐露。

社会に蔓延るヘイトスピーチやヘイトクライム、公的補助からの排除といった官製ヘイトなど、在日朝鮮人に対するヘイトが深刻化していくのは「日本が植民地支配の清算を行い、植民地支配責任や戦後責任をしっかりと負うことなく、むしろ自国の都合の悪い歴史を修正しているところに根本的な原因がある」と述べた。そのうえで、「このような国家権力による横暴に歯止めをかけ、人々の自由と権利を保障するために、制定されたのが憲法ではないのか」と疑問を投げかけた。

李さんは「これからも在日朝鮮人として、日本社会に生きる一人の若者として、差別や不平等をなくし、人種や民族に関係なくすべての人が互いに尊重し合える社会をつくっていきたい」と語った。

同集会では、日本体育大学教授の清水雅彦さん、NPO移住者と連帯するネットワーク代表理事の鳥井一平さんからも発言があった。集会の最後には、改憲発議を反対し、軍事増強を許さない取り組みを進めようとの行動提起がなされ、締めくくられた。

(文・韓賢珠、写真・金紗栄)

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