著名人のヘイト野放しに
2022年10月13日 17:35 社会を知る~今週のnewsトピック~日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。
原発の運転延長へ向け法改正を検討
原子力発電所の運転期間を延長するため、日本の経済産業省は電気事業法、原子力基本法を一括で改正する動きに入っている。
日本では、東日本大震災での原発事故発生後の2012年から原発の運転期間が原則40年に定められている。ただし、所管する原子力規制委員会の許可が下りれば20年の延長が可能となっている。
事故前に原発運転を所管していた経産省は「運転期間を延ばし、エネルギー供給の安定化を図る」と、法改正に積極的な姿勢を示す。しかし運転期間の延長によってエネルギー供給がどのくらい安定するのかは明確な根拠がなく、また、放射性廃棄物の処理もままならない現状から法改正に反対する声があがっている。
現在、日本で稼働している原発は19基。原発問題を巡っては、東日本大震災による事故の影響でがんを患ったとして、国に対し福島県民が集団訴訟を起こした事例もある。
人権侵害による日本語学校の処分停止
ベトナム人留学生を鎖や南京錠で拘束するなど人権侵害を犯したとして、福岡市の日本語学校「西日本国際教育学院」が今後5年間、新たな留学生の受け入れ禁止処分を受けた問題と関連し、福岡地裁は9月30日、処分を不服とした学校側の訴えに基づき処分の効力を停止した。
出入国管理庁は先月7日、同校で男性職員による人権侵害があったとして、日本語学校として認める告示から同校の名前を抹消。今後5年間の新規留学生受け入れを停止する処分を下した。これに対し同校を運営する学校法人宮田学園は、組織的な関与がないとして処分の執行停止を求め提訴。福岡地裁は同30日に「組織的な人権侵害を認める資料がない」として処分の執行停止を言い渡した。
差別投稿、ヤフー対応追いつかず
ニュースサイト「ヤフーニュース」のコメント欄に書き込まれるヘイトスピーチが深刻、問題化している。企業側はコメントを24時間体制で監視しているとするが、差別投稿への対応が追いついていない。
8月28日付で掲載された記事には200件以上のコメントが付いた。朝鮮学校の無償化問題に関する内容であったが、コメントの大半が「(朝鮮学校が)無償化の恩恵にあやかれると思っているのか」「納税義務を果たしてから言え」などのヘイトスピーチやデマだった。コメントは現在も削除されていない。
デマや差別投稿はヤフー側が規制する義務がある。同社には約70人の監視員と人工知能(AI)を通じた24時間の監視体制が設けられているが、現状は差別投稿が野放しになっている。
ヤフー掲載記事への差別投稿を巡っては、昨年8月に京都・ウトロ地区への放火犯が「ヤフコメ民(ヤフーニュースに対するコメントを見たり投稿したりする人)の反応を期待していた」などと供述し、自身もヤフー知恵袋に掲載されたデマを信じていたことが明らかになっている。
風刺画に「厳重警告」
南朝鮮の尹錫悦政権を風刺したイラスト「尹錫悦車(尹錫悦+列車)」で「全国学生マンガ公募展」の最高賞を受賞した高校生に対し4日、南の文化体育観光部は「遺憾を示す」とし「厳重警告」を言い渡した。
作品を手掛けた高校生は「大統領選挙期間中、列車に乗った尹大統領が靴を履いたまま座席に足を置いた」ことをモチーフに描いたとしている。文体部による警告後、当該高校生が在籍する高校には激励の声が届いたほか、一部誹謗中傷があったという。
事態を受け、共に民主党は6日、作品に対する警告は文化人に対する表現の自由の侵害に該当するとして、人権委員会に対し陳情書を提出。また南のマンガ家協会をはじめとする各文化人団体は相次いで抗議声明を発表し、文体部に対し謝罪と警告の撤回を求めた。南朝鮮国内では、文体部による警告が朴槿恵政権下の「ブラックリスト」を想起させるとの批判も上がっている。
大道芸W杯PDが差別発言で解雇
11月に静岡県で開催予定の大道芸W杯でプロデューサーを務める奥野晃士氏(舞台俳優)が、会議で差別文書を配布し、外国人に対する差別発言をしたとして7日に解任されたことが実行委の発表で明らかになった。
奥野氏は会議の場で「日本人の精神性の中核は武士道」などと記載した文書を配布したほか、朝鮮半島や中国をさげすむ発言をしたという。7日に行われた記者会見で実行委は「差別的発言は大道芸ワールドカップの理念にもとるものであるとともに、看過できるものでない」ことから奥野氏をプロデューサーから解任すると発表。重ねて同実行委の杉山茂之委員長が引責辞任すると報告した。今後は副委員長が委員長を務める。
著名人のヘイト野放しに
インターネット掲示板「2ちゃんねる」開設者、ひろゆき(西村博之)氏による沖縄差別発言が問題視されている。
同氏は3日、沖縄県名護市の辺野古ゲート前を訪れ、市民らの座り込み日数を記録した掲示板の前に立ち「0日にしたほうがよくない?」と投稿。米軍新基地建設に反対する市民らは土砂の搬入を防ぐため、トラックが通る時間帯に合わせ座り込みをしているが、自身が訪れた時に誰もいなかったことから「座り込みの定義に反している」と論点のずれた発言をしていた。
また、自身が運営する動画配信サイトでは「沖縄の人は文法通り(の日本語を)喋れない」「元々方言があるのできれいな日本語にならない」などとヘイトスピーチを連発。SNSでは批判が相次いでいるが、現在も同氏による謝罪や撤回はない。フォトジャーナリストの安田菜津紀さんは自身のSNSで「言葉は時に支配の道具として使われてきた」と警鐘を鳴らした。
(朝鮮新報)