〈関東大震災99周年追悼式典〉東京・横網町公園

2022年09月05日 12:15 歴史

清算されない犯罪、新たな犯罪生む

関東大震災99周年に際し、東京都墨田区の都立横網町公園で1日、「東京同胞追悼会」が執り行われた。総聯中央の南昇祐副議長、東京都本部の高徳羽委員長をはじめとする活動家、同胞、日本市民など約100人が参加した。

関東大震災99周年に際し、東京都墨田区の都立横網町公園で1日、「東京同胞追悼会」が執り行われた

追悼会ではまず、参加者全員が震災当時に虐殺された同胞犠牲者を偲び黙とうをささげた。続いて高徳羽委員長、東京朝鮮人強制連行真相調査団の西澤清代表が追悼の辞を述べた。

高委員長はまず、日本の植民地支配下であった99年前、異国の地で無残に殺された朝鮮人犠牲者らに哀悼の意を表した。その上で、関東大震災時に発生した朝鮮人虐殺は国際法における集団虐殺（ジェノサイド）であり、そのきっかけは日本当局による「井戸に毒を投げ入れた」などの流言飛語であること、その根源には朝鮮民族に対する排他思想があると強調した。また、日本政府が遺族らに対する謝罪や賠償はおろか、虐殺の歴史的事実を隠蔽し歪曲しようとしていること、現在に至っては、高校無償化や幼保無償化、学生支援緊急給付金制度の対象から在日朝鮮人の子どもたちを排除するなど、新たな差別を行っていると糾弾した。加えて、小池都知事の追悼文不送付など、日本政府や都の一連の対応が、追悼会の同日同時刻に行われる集会をはじめ、排外主義者らを助長していると強く非難した。

高徳羽委員長が追悼の辞を述べた。

高委員長は、日本政府が関東大震災時の虐殺に対する真相を究明し犠牲者たちに対し賠償を行うこと、朝・日平壌宣言20周年を迎える今年、侵略と植民地犯罪に対する当然なる教訓に学び、過去の清算と朝・日関係正常化を早期実現すること、総聯、在日朝鮮人、とりわけ朝鮮学校に通う子どもたちに対する不当な民族的差別と人権侵害をやめることを改めて求めた。

続いて、朝鮮民主主義人民共和国朝鮮人強制連行被害者・遺族協会から送られてきた追悼文が代読された。

追悼文は関東大震災時の朝鮮人虐殺は「地震のために陥った深刻な社会政治的危機を免れようと、日本政府が画策したことに端を発した無差別的な朝鮮人大量虐殺犯罪」であったと非難した。そのうえで、日本政府が、国家的責任を否定し、反朝鮮謀略宣伝として、在日朝鮮人に対する、あらゆる迫害や民族的差別を正当化し、次世代たちの朝鮮民族に対する拒否感や排他主義を鼓吹している状況を糾弾。「清算されない犯罪は、新たな犯罪を生む」として、真相究明と犠牲者、遺族たちへの謝罪・賠償を強く求めた。

黙とうする参列者たち

この日の追悼会では、今年7月、南朝鮮で発足し「関東虐殺100周忌追悼事業実行委員会」の関係者らも参加。同会の共同推進委員長を務める、民族和解協力汎国民協議会（民和協）のリ・ジョンゴル代表常任議長が追悼の辞を述べた。

また、来ひんを代表して日朝友好促進東京議員連絡会の河野達男共同代表（新宿区議）、フォーラム平和・人権・環境の藤本泰成共同代表があいさつした。

追悼式の最後には参列者全員による献花が行われた。

日朝協会主催の追悼式典も

同日、同胞追悼会に先立ち、日朝協会東京都連合会などが主催する関東大震災99周年朝鮮人犠牲者追悼式典が行われた。同式典は、感染症対策のため一般参加はなく、日朝協会東京都連合会の宮川泰彦会長（式典実行委員長）など関係者らで行われ、式典はネット中継された。

同胞追悼会に先立ち、日朝協会東京都連合会などが主催する関東大震災99周年朝鮮人犠牲者追悼式典が行われた。

開会のことばを述べた宮川泰彦実行委員長は、朝鮮人犠牲者たちは「大震災という天災から生き延びたものの、人の手によって多くの命を奪われた」と指摘。にもかかわらず、国や自治体が真相究明や犠牲者への謝罪・補償を一切行おうとしないことへ警鐘を鳴らしながら、「悲惨な歴史的事実を語り継いでいくことが、今をいきる私たちの責務」だと訴えた。

式典では、読経と鎮魂の舞に続き、総聯東京都本部の康景翊国際統一部部長、「関東大震災朝鮮人虐殺の国家責任を問う会」の田中正敬事務局長（代読）、亀戸事件追悼会実行委員会の榎本喜久治副実行委員長、日本共産党東京都議団の里吉ゆみ議員など各界から追悼の辞が続いた。