教会関与の迫害、ローマ教皇が謝罪
2022年07月27日 17:09 社会を知る~今週のnewsトピック~日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。
スパイ捏造、47年ぶり無罪
朴正熙政権が捏造した「学園浸透スパイ団事件」と関連し、政治犯として逮捕され、長期にわたる獄中生活を強いられた在日同胞の柳正植さん(83)が、47年ぶりに無罪を言い渡された。
ソウル高裁は7日、国家保安法違反などの容疑で、1審で死刑、2審・3審で無期懲役の判決を受けた柳さんの再審で無罪を言い渡した。
「学園浸透スパイ団事件」は、朴政権の謀略機関である中央情報部(KCIA)を操作し捏造した事件で、1975年、当時、在日同胞留学生13人を含む計21人を「北のスパイ」だとでっち上げ、国家保安法および反共法違反等の疑いで起訴した。
1975年4月19日に起訴された柳さんは、脱出、潜入、賛美鼓舞などの疑いで1審で死刑を、その後の2審では無期懲役を宣告され、約20年間服役。南朝鮮での報道によれば、柳さんは、2020年1月に2審判決に対する再審を請求。「国家保安法違反に該当する行為をしたことはなく、当時捜査機関での陳述は不法な逮捕、監禁、苛酷な拷問行為を通じて収集された証拠なため、その証拠能力が認められてはならない」と主張したという。
裁判所はこの日、「被告人が捜査機関や法廷で行った陳述は、被告人が明らかに拒否しなかったとしても心理的および強制的な圧迫を伴うものであり、その他にも不法逮捕の状態で調査を受けたとみられる」と指摘。「公訴事実を裏付ける証拠が何もないため、有罪と認められない」と下級審の有罪判決を取り消した。
自民党差別文書に5万筆の抗議署名
自民党の国会議員らが参加した会合で、「同性愛は後天的な精神の障害、または依存症」などの性的少数者に対する差別文書が配られた問題で、当事者有志らは25日、差別文書に書かれた内容を明確に否定し、差別をなくす姿勢を示すことなどを求める署名を、自民党の岸田文雄総裁(首相)宛てに郵送で提出した。署名はインターネット上の署名サイト「change.org」(チェンジ・ドット・オーグ)を通じて呼びかけれ、約5万1,500筆が集まった。
各紙報道によると、同日関係者らが都内で会見を開き、「差別言説を正当化し」た自民党議員らの行為は到底看過できないと非難した。
署名「#自民党はLGBT差別冊子の内容を明確に否定してください」では、自民党に対し、▼冊子に書かれた内容を明確に否定し、差別をなくす姿勢を示すこと、▼誤った認識に基づく差別的な考えを広めないために、冊子を回収すること―を求めていた。
サル痘感染、日本国内で初確認
欧米などを中心に相次いで報告されている「サル痘(とう)」について、世界保健機関(WHO)は23日、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態に相当する」として、感染拡大に伴う緊急事態を宣言した。現在、世界的な拡大をみせるサル痘の感染者は1万6千人を超え、5人の死亡が確認されている。
サル痘は天然痘に似た感染症で、1週間から2週間の潜伏期間を経た後、顔や体に発疹がでるほか発熱やのどの痛みなどを発症する。感染源は、「サル痘ウイルス」に感染した動物にかまれたり、ヒトの血液や体液、発疹に触れたりすることが主な原因。25日には、日本国内で初めて感染者が確認された。感染したのは、欧米から帰国した都内在住の30代男性で、発熱、発疹、倦怠感などの症状があるという。
教会関与の迫害、ローマ教皇が謝罪
ローマ教皇フランシスコは、カナダ訪問中の25日、かつての同化政策により迫害を受けていた先住民に対し、謝罪した。
現地の公共放送によると、カナダ西部・アルバータ州にある先住民寄宿学校の跡地を訪れたローマ教皇は、先住民に対する大規模虐待にカトリック教会が関与していたことについて「先住民に対し、非常に多くのキリスト教徒が行った悪行について謙虚に許しを請う」と謝罪。「特にカトリック教会とキリスト教コミュニティーの多くの関係者が当時の政府による寄宿学校制度を通じて文化を破壊し、強制的な同化を進める諸政策に協力した点に許しを請いたい」と語ったという。またカトリック教会が当時、カナダ政府による「植民地主義的考え」を支持したことについても詫びながら、真相調査と被害者救済の必要性を語った。
イギリスとフランスの入植という、かつて先住民が暮らしていた土地を略奪した歴史上に成り立つカナダでは、19世紀後半から約100年ものあいだ、先住民に対するカナダ政府の同化政策として、寄宿学校制度が存在した。先住民の子どもたちは、教会が運営する寄宿学校に強制的に入学させられ、母語の使用や信仰の自由を奪われたほか、暴力や性的虐待などを受けた。その数は15万人を超える。
これと関連し、08年には当時のスティーブン・ハーパー首相が、過去の同化政策について正式に認め謝罪した。
「表現の不自由展」が京都、愛知で
「表現の不自由展」が京都、愛知の各地で開催される。
3年前に催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」では、日本軍性奴隷制問題を象徴する「平和の少女像」など、日本の加害史を扱い、過去に検閲の対象となった作品を集めた企画展「表現の不自由展・その後」が、中止に追い込まれたのは周知のとおり。これを受け、昨年には、当時の作品の一部を紹介しようと、各地で展示が企画されたが、排外主義団体からの妨害などにより、東京や愛知などで延期・中止となっていた。
8月6、7日に京都展(京都市内・場所は予約者のみに公開)が、25日~28日には名古屋市中区の市民ギャラリー栄で名古屋展が開催される。入場は事前予約制。
(朝鮮新報)