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〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 45〉沖縄、朝鮮の「渇き」と、私たちの言葉/目取真俊②

2022年06月24日 11:00 寄稿

沖縄戦の歴史と記憶、ヤマトと米国の支配に向き合い続ける目取真俊氏の作品には、支配言語たる日本語と、沖縄土着の方言との葛藤を通じた、言語ないし文化への問題意識が常にあらわれる。

前回紹介した氏の新作短編「斥候」(『世界』5月号)には、沖縄戦時、米軍のスパイ容疑で父を日本軍に処刑された勝造と、彼の父を密告したことを悔やみながらも隠し続けてきた主人公勝昭が、戦後再会する会話シーンでは、勝造の言葉が、「いつしか村言葉(しまくとぅば)に変わって」いく。本音や核心に迫る言葉、声の箇所ほど、土着の言葉で描写されるのだ。

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