〈本の紹介〉西大門刑務所の黙示録―分断克服に生命を賭した在日の行動する良心―/坪井兵輔著
2022年04月08日 10:55 文化国家の罪に抗った死刑囚の記録
著者は、毎日放送記者時代、ドキュメンタリー「獄中13年」を制作した坪井兵輔氏。本書は、「生を賭して国家の罪に抗った死刑囚」、康宗憲さん(韓国問題研究所所長)へのインタビューを重ねた15年の記録である。康さんは「北のスパイ」疑惑で1975年に拘束、77年に死刑判決をうけた。13年におよぶ壮絶な獄中生活から解放された後、2019年に無罪を勝ち取った以降も、再審中の良心囚―スパイ捏造事件の被害者らの救援活動を続けている。
「日本と韓国、服従と自決、専制と民主、内戦と統一、そして記憶と忘却。西大門刑務所は『分断の焦点』である」――