〈ここにも同胞の名店・東京〉隠れ家炭火焼肉Chez Sim(シェシム)
2022年02月07日 16:15 ここにも同胞の名店 暮らし・活動
店舗紹介
山口県下の朝鮮学校出身の沈有世(31)、知世さん(28)兄弟が二人三脚で切り盛りする焼肉店・Chez Sim(シェシム)。昨年10月、東京・世田谷区の尾山台にオープンした。
「家」をコンセプトに、上質な佐賀牛と有機野菜の素材の味を活かした独創的な料理の数々を楽しめる。地元山口、大阪、東京で朝鮮料理、和食、フランス料理などの調理経験を積んだ兄の有世さんが考案したメニューは一から十まですべて手作り、食品添加物は一切不使用。焼肉・朝鮮料理に和仏の要素を融合させたアラカルトの数々は同店でしか味わえない妙味だ。
真骨頂はなんといっても佐賀牛肩ロースの中でも希少な部位だけを使用した「金ロース」。素焼きに塩ワサビをつけていただけば、肉の旨味がダイレクトに舌に伝わる。ワサビしょうゆで食べればまた一興だ。
王道の次は、ぜひ「佐賀牛ヤキスキ 雲丹と奥久慈卵」を。霜降りのザブトンを片面だけサッと焼いたら、奥久慈卵を溶いたタレにくぐらせ、その上に雲丹をのせていただく。これでもかというほどの贅沢素材が渾然一体となり口の中でふわりととろける。余ったタレと卵黄は、佐賀産コシヒカリの卵かけご飯に衣替え。高級フレンチ然とした一皿から急転直下、だけど庶民の味に心も舌も和む。
焼肉店定番のミノ刺しも、低音調理で生の食感を再現したカルパッチョ風の「ミノコンフィ」で洗練させるのがシェシム風。爽やかな風味は、箸休めにぴったりのひと皿だ。
さまざまな表情を持つ料理に合わせて、ビールにワイン、ウイスキー、日本酒、焼酎、カクテルなど、酒類を豊富に取りそろえているのもうれしい。
「一つの料理に二つ以上の付加価値をつけて提供したい。既存の焼肉店とは一味違うコンセプトを楽しんでほしい」と有世さん。
一方、弟の知世さんはマネジメント全般を担う。山口と大阪の飲食店に勤めながら、出店に向けて接客や経営などの知識を蓄えてきた。「一見すると洒落た店内だけど、美味しい料理を味わいながら家にいるような居心地の良さ、感動を与えられたら。真心を込めてお客さんを迎えたい」(知世さん)。
屋号のChez Simはフランス語で「沈家」を意味する。異郷で自分の店を構えることは、1世の祖父の悲願だった。沈さん兄弟が開業に向けてひた走ってきたのも、3代にわたる家族の夢を実現するためだった。それぞれに家庭を築いた今は、家族の輪がもっと拡がった。有世さんの伴侶の母語である仏語を屋号に冠し、知世さんの義実家が営む焼肉店で使用する佐賀牛をメイン素材に選んだ。都心ではなくあえて住宅街に出店したのも、都心への足が遠のくコロナ禍で地元に愛される店を目指したからだ。
沈さん兄弟の夢とこだわりが凝縮された同店。“モダンで洗練された焼肉店”という印象だけにとどまらず、どこか温かみを感じさせるのは、家族への強い思いが随所に現れているからだろう。 (2022年1月取材)
基本情報
店名 : 隠れ家炭火焼肉Chez Sim(シェシム)
住所 : 東京都世田谷区尾山台3-9-10 ジョイ尾山台201(東急大井町線尾山台駅2番出口徒歩5分)
営業時間 : 平日 17:00~23:00(L.O21:00)
土日祝 12:00~14:30(L.O14:00)
17:00~23:00(L.O21:00)
定休日:月曜
電話番号 : 03-6809-8901
HP:予約サイト:https://www.tablecheck.com/shops/chez-sim/reserve?utm_source=google
インスタグラム: https://instagram.com/chez_sim?utm_medium=copy_link
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