〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 40〉憎悪・怨嗟の炎、…希望の炎は?/放火と文学
2022年01月22日 11:14 寄稿この年末年始にかけて思うところがあって、「放火と文学」ということを書こうと思う。
不謹慎と思われるかもしれないが、文学芸術は炎、火事、放火を重要なモチーフとして描き続けてきた。燃え上がる恋愛の比喩として、抑圧されついに爆発する人間のパッションそのものとして、また全てを焼き尽くそうとする人間の悪の所業として。文学的イメージとしての炎は、燃え盛る生命力の謂いとして、破壊の願望として、エロスもタナトスも含みこみながら、反抗へと転化されひいては変革の力ともなる。古今東西、世界文学にその例をあげれば枚挙にいとまがないだろう。よって、炎は革命のイメージとも直結する。圧政への反抗の狼煙、支配秩序を破壊し、新たな世界を築く烽火として。朝鮮の文学芸術にも革命と建設の思想と情熱が、しばしば炎の喩となって表されている。