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短編小説「燃える島」11/黄健

2022年01月23日 09:46 短編小説

どうか当たってくれるようにと心に祈るのだが、相手の敵艦は、あたかも野獣の群れのようにうようよしている。マストごとにはためく色とりどりの旗は、世にまたとない醜悪で憎いものに見えた。

ついにわが方の砲弾が敵の駆逐艦に命中した。機関部に当たったとみえて、太い真っ黒な煙がまっすぐ上がったかと思うと、みるみる船体をつつんでしまった。とどろく砲声のなかに、砲座の方から兵士たちの歓声が聞こえてきた。すると、またもや、一発、今度は警備艇に命中した。警備艇はまたたく間に水中に没してしまった。

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