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短編小説「春の農村にやってきた青年」24/千世鳳

2021年12月06日 10:54 短編小説

「まあ、いいから、靴下をくれ!」

「本当に、じいさんの言うことを聞いてると、とても正気だとは思えやしないよ! バルバリってどこのバルバリさ」

妻は靴下を持ってきたが、夫がどうかしてるのではないか確かめでもするように、じっとのぞきこんだ。彼は、震えがちな手つきで靴下をはくと、急いで立ち上がった。そしてチベギには目もくれず、ぐいと戸を引き開け、さっさと土間に降りた。

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