前川喜平氏が登壇/「ハムケ・共に」主催の講演会
2021年11月22日 14:56 暮らし・活動「官制ヘイト」根絶なしに多文化共生ない
西東京第1初中を支援する団体「ハムケ・共に」が主催する講演会「手わたしたい、差別のない未来を!子どもの人権 朝鮮学校に公的教育保障を」が13日、立川市市民会館で行われた。講演会では西東京第1初中の生徒たちによる芸術公演や東京無償化裁判の元原告らによるパネルディスカッションがあったほか、元文部科学事務次官の前川喜平氏が子どもと人権について講演。「高校無償化、幼保無償化からの朝鮮学校排除の根底には、日本政府のヘイト感情がある」と鋭く批判した。
抜け落ちる外国人の教育権
講演で前川喜平氏は、外国人に対する教育権が十分に保障されていない日本の現状を、国際法と照らし合わせながら指摘した。
冒頭、同氏は「教育を受けることは子どもに限らずすべての人の権利」であると言及。また、いかなる教育内容であっても尊重されるべきであると強調した。
日本が1994年に批准した国連の子どもの権利条約には、民族的アイデンティティの尊重がうたわれている(第29条1項C)。同氏はこれに言及しながら「国際法に照らせば、国籍・民族の隔てなく人権並びに教育権が保障されることが定められている。しかし日本での民族教育は現在、当事者の努力に任せられており、国は権利を侵害している。これは明らかな国際法違反だ」と断罪した。
さらに、外国人に対する教育権の侵害が、日本国憲法にも顕著に表れていると指摘。同氏は憲法第26条1項の「すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」という条文を引用し、主語である「国民」を問題視。「明治憲法を引き継いだ現在の日本国憲法では、『国民』の定義が『日本国籍を有するもの』であると定められている。ゆえに日本に住む外国人は含まれていないも同然だ」。
さらに「明治憲法での人権の定義は『国(天皇)が臣民に与える権利』といういわゆる『国体思想』に基づくもので、それは今の憲法にも少なからず影響している」としながら、人権思想に基づく教育保障を考える必要があると強調した。
「政権がヘイトを扇動」