〈ものがたりの中の女性たち 48〉「息子の出自を秘密にしてくれるなら、この場で自害しましょう」/楊士彦母
2021年10月03日 07:57 文化・歴史あらすじ
楊士彦(ヤンサオン)の父が霊巖(リョンアム)郡守に赴任する途中、ある農村を通った時のことである。昼になりある農家に寄ると、ひとりで留守番をしていた十二歳の少女が一行を迎えた。昼食をとれるかという揚公の問いに、少女は野良仕事に出ている両親を呼ばずひとりで昼食を準備し一行をもてなし、馬にも餌を与えた。楊公は彼女の聡明さと品の良い言動に感心する。彼は感謝のしるしに持っていた赤と緑の扇を彼女に渡しながら、ふざけて「結納」の代わりだと言う。少女は楊公の冗談を真に受け心にしまう。