短編小説「道づれ」11/キム・ビョンフン
2021年06月26日 08:00 文化・歴史私は彼女がうずくまったまま泣いているような気がして、思わず鼻柱がじーんとしてくるのをおぼえた。
さて、どうしたものだろう?……私はデッキの上を見回した。いつの間にかそこには、先刻、彼女から魚の講義を聴いた乗客たちが集まっていた。みな気づかわしげに缶と私の顔を見くらべている。私は、デッキの片隅においてある主のない缶を見ると、なんだか悲しくなった。
私は彼女がうずくまったまま泣いているような気がして、思わず鼻柱がじーんとしてくるのをおぼえた。
さて、どうしたものだろう?……私はデッキの上を見回した。いつの間にかそこには、先刻、彼女から魚の講義を聴いた乗客たちが集まっていた。みな気づかわしげに缶と私の顔を見くらべている。私は、デッキの片隅においてある主のない缶を見ると、なんだか悲しくなった。