短編小説「道づれ」10/キム・ビョンフン
2021年06月21日 16:25 文化・歴史水を4回ばかり替えたことからおして、あれから七つか八つ目の駅をすぎたころのことである。思わぬことが持ち上がった。
水を替えてやるべき次の駅に間もなく着くというのに、彼女は何度も缶から温度計を引っ張りだしてのぞきこみながらしきりに眉をしかめていた。温度計の水銀柱は20℃を指していた。彼女の話によれば、13℃から17、18℃の水温が常温だという。だが、次の駅で水を替えてやればいいのであって、何もあんなにまで眉をしかめることもないだろうに?……しかし彼女は例の手帳をのぞいては、いっそう暗い顔をした。何故だろうか? 何だか私まで不安になってきた。