「日体大の精神に基づく行動」、松浪健四郎理事長に聞く
2012年11月16日 18:05 共和国「世にさきがけて獅子吼する」
【平壌発=鄭茂憲】日本体育大学の松浪健四郎理事長が朝鮮訪問中(12日~16日)、本紙記者のインタビューに応じた。松浪理事長は朝鮮側の温かい歓迎に感謝しながら、体育・文化交流が日朝関係改善への糸口になると話した。
両国の国民同士の心の扉を開く機会になればいいと思う。滞在期間は短かったが、心からの温かい歓迎を受けてわれわれは感激している。
日体大は柔道、サッカー、レスリングともに国内で強さを誇っているが、朝鮮体育大学も予想通りレベルが高かった。
―政府間において関係改善が進んでいない中で、史上初めての大学生間のスポーツ交流が実現した。
外務省をはじめ日本政府も理解を示してくれた。
朝鮮のリーダーが変わり、赤十字会談や課長級会談が行われるなど、変化の兆しが見えて来ていると感じている。日本政府も両国関係改善の意思があるからこそ、日体大の訪朝に協力してくれたと思っている。
当の学生たちはフレンドリーに楽しんでいた。若い人たちは何の偏見も持っていない。だからこそこのような交流は両国にとって大変意義深いと思っている。古い人たちは固定観念が強く、どうしても政治的に走りすぎて偏見を持ってしまう。それではうまくいかない。
―記者会見が、出発直前に行われた経緯は。
もし、訪朝を妨害しようとするような団体があった場合、学生たちを困惑させてしまうという思いがあった。警察の協力もあり何事もなく、無事に訪問できた。
それに、訪朝に関して保護者からの反対意見もなかった。
―今後も学生間のスポーツ交流を続けたいと感じているか。
日体大の建学の精神に基づく社会的使命として、「国際的な競技力向上に貢献する」とうたわれており、また「スポーツの力を機軸に、国際平和の実現に寄与する」と記されている。われわれはそれをまっとうしなければならないし、今後も朝鮮とのスポーツ交流を続けたいと感じている。
学生寮に暮らす学生たちは毎日寮歌をうたうが、その一節に「世にさきがけて獅子吼(ししく)する」とある。みながやらないことを、勇猛な気持ちを持って先んじて行動するという信念に基づくものだ。今回の訪朝も、その表れだ。
朝鮮政府は、日体大の思いを理解し温かく迎えてくれた。とてもありがたく感じている。われわれの行動を通じて、両国の関係が一歩でも前に進むことを期待している。
スポーツ交流、文化交流が盛んになれば国民と国民とが仲良くなり、また、理解し合うということが進めば、おのずから何事も解決すると思っている。
(朝鮮新報)