〈広島無償化裁判〉不当判決に屈せず、勝つまで闘い続ける/広島無償化裁判を支援する会が声明
2020年10月16日 15:03 民族教育国が朝鮮学校を無償化の対象にしなかったのは違法だとして、広島朝鮮初中高級学校を運営する学校法人広島朝鮮学園および同校卒業生ら109人が原告となり、国に対し不指定処分処分の取り消しや損害賠償を求めた訴訟で、広島高裁は16日、一審の地裁判決を支持し、国の判断を「適法」とする不当判決を下した。これと関連し同日、広島無償化裁判を支援する会が声明を発表した。以下、声明全文。
声明
2020年10月16日、学校法人広島朝鮮学園、卒業生109名が「高校無償化」からの排除の不当性を訴えて、日本国を相手に訴訟を提起して7年3か月、広島高等裁判所は、2017年の広島地裁不当判決に続き、本日、不当な原告(控訴人)敗訴判決を下しました。昨年、一昨年と続いた東京・大阪・名古屋での提訴を退けた最高裁の決定に続く今回の不当判決は、3年3ヶ月という長い期間行われた控訴審に携わった原告、関係者の想いを踏みにじる不当判決であり、広島高裁三木裁判長を始めとする裁判官たちは、この控訴審の期間一体何を見てきたのかという怒りを禁じえません。
私たちは、この判決を「高校無償化」法の趣旨に反し、子どもの学習権や民族教育権を無視した不当判決と捉え、強く抗議します。
「高校無償化」裁判は全国5ヵ所(大阪・愛知・広島・福岡・東京)で闘われ、このうち大阪地裁では「無償化に関する法律を朝鮮学校に適用することは拉致問題の解決の妨げになり、国民の理解が得られないという外交的・政治的意見に基づいて対象から除外したと認められ、法律の趣旨を逸脱し、違法で無効」とする画期的な勝利判決を勝ち取りました。しかしそれ以外については、昨年8月27日の東京・大阪、そして今年9月2日の名古屋の最高裁決定も含め国側の差別政策を司法が容認する不当判決が続きました。私たちは、今回こそは「人権の砦」であるはずの司法が行政権力に「忖度」せず、「高校無償化」を朝鮮高校に適用するという、至極まっとうで当然の判決を得られると確信していましたが、今回の不当判決は、やはりこの国において司法は独立しておらず、権力への忖度のみを優先する機関であるという深い失望を与えたことは、極めて深刻な事態として捉えざるを得ません。
すべての子どもたちは、どの国に住もうとも、学校選択の自由や民族的アイデンティティを保持しながら教育を受ける権利を有しており、政治的理由から子どもたちを差別・分断することは決して許されるものではありません。日本政府には在日朝鮮人の民族教育権を保障し、諸条件を整える責任があり、植民地支配の結果として日本で生活している在日朝鮮人の民族教育に対して、歴史的経緯を踏まえ植民地支配被害者の原状回復の問題として対応すべきです。日本政府には、在日朝鮮人をはじめすべての外国人の子どもたちの学習権・教育権を速やかに認め、民族教育を保障するために国庫補助を行い、税制上の問題をはじめとする様々な差別的な処遇を速やかに是正する責務があります。
私たちはこれまで広島朝鮮学園当事者・弁護団・朝鮮学園支援者の三者の協力のもとに街頭宣伝・署名活動は言うに及ばず、できることは何でもやる決意で裁判を闘ってきました。とりわけ一審判決後は毎月19日行動を通して県民・市民への情宣活動に取り組むと同時に、裁判を闘う意義を学び・広げるための講演会、映画上映会の開催なども取り組んできました。
私たちは本日の不当判決に屈することなく、これからも朝鮮学校が当然に受けるべき権利を勝ち取るために、裁判に関わる全ての人たちを全力で支援し、勝つまで戦い続ける所存です。
勝利のその日まで、共に頑張りましょう!
2020年10月16日
広島無償化裁判を支援する会