〈本の紹介〉日本のセーフティーネット格差―労働市場の変容と社会保険/酒井正 著
2020年10月06日 17:02 権利「皆保険」の綻びを問い詰める
「安定的な雇用に就いていなければセーフティーネットを得られないのならば、それはセーフティーネットと言えるのだろうか」――全331ページ、第7章からなる本書に一貫したテーマといえる。
日本の社会保障の根幹となってきた「国民皆保険」。全「国民」が健やかで安心できる生活を営めるよう、全「国民」に公的医療保険や公的年金(以降、社会保険)に加入することが義務付けられている。
その一方で、国民健康保険の未納世帯は2割、国民年金の未納月数は3割にのぼっている。この状況をどのように捉えるべきだろうか?