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〈ものがたりの中の女性たち 33〉産まれた息子は鬼神だった/桃花娘

2020年04月25日 09:00 歴史

あらすじ

新羅第二十五代王舎輪王の諡号は眞智大王であり姓は金氏である。五七六年に即位したが、四年の治世の間に無能と淫蕩ばかりが露わになり怒った人々によって王は廃されてしまう。生前に王は沙梁部の民間の娘が「桃花娘」と呼ばれ美しいと名高いことを聞きつけ、宮中に彼女を呼び関係を迫る。桃花娘は答える。

「女が絶対に守らなければいけないことは二夫にまみえずということです。たとえ天子様の威厳をもってしても夫あるこの身を他の男に捧げるようなことはできないでしょう」

すると王は「殺すと言ったらどうする?」と脅すが、桃花娘は「市中で殺されても心は変わりません」と答える。王が彼女を弄ぶように「夫がいなければよいのか?」と問うと、桃花娘は「はい」と答える。

王は仕方なく桃花娘を帰すことにする。

その年、王は廃されて死に、その二年後桃花娘の夫も亡くなる。十数日後の夜、生前と変わらぬ姿で部屋に現れた王は言う。「そなたが過日、約束したのだぞ。夫が死んだからにはよいな?」と。

桃花娘が頑として首を縦に振らないと、業を煮やした王の亡霊は彼女の両親の部屋に現れて命じる。両親は「王の命にどうして背くことができよう」と、桃花娘を寝室に押しやる。王の亡霊は七日間桃花娘の部屋に留まり、その間中五色の雲が家の屋根を覆い、部屋には不思議な香りが充満する。王の亡霊は七日が経つと突然跡形もなく消え、桃花娘は妊娠、月満ちて出産のときには天と地が揺れる。生まれた息子は鼻荊と名付けられる。

半人半妖の鼻荊を珍しがった二十六代王眞平王は宮中に鼻荊を引き取り、その後、不思議なことが次々と起こる。


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