〈みんなの健康Q&A〉下肢を動かさないというのが一番よくない/高齢者の下肢浮腫(むくみ)
2020年04月09日 14:45 文化・歴史毛細血管内から外側へ過剰に水分が移動した状態
Q. 高齢者では、特にこれといった疾患がないのに顔や手足、特に脚(膝から下)がむくんでいるという方が多いそうですね。
A. 顔や手足が腫れぼったくむくんでいることを医学用語では浮腫といいます。全身疾患たとえば進行がん、心不全、慢性腎疾患、肝不全、ホルモン異常などの臨床症状として出現する浮腫と、高齢化によって生ずる多様な身体・内臓機能低下を主因とする浮腫が実際は混在しています。
加齢に伴い基礎代謝量・身体活動量が低下するとともに、栄養摂取不良や消化機能低下などに起因する低蛋白血症がみられるようになります。こういった状況に加えて潜在的な心機能・腎機能障害による静脈圧亢進、ならびに下肢筋肉ポンプ機能の低下や下肢静脈不全の影響で浮腫が生じやすくなります。
高齢者の浮腫保有率は、外来通院中の方で30%以上と報告されていて、長期療養施設の調査では60%以上といわれています。また、浮腫の部位としてはやはり下肢全体が8割以上を占めています。