〈学美の世界 16〉対話の痕跡をたどる/河美香
2020年03月06日 16:14 文化下は初級部1年生から上は高校3年生まで、画面いっぱいに、時には大きくはみ出して作られた作品たちを前にすると、子どもたちの楽しいおしゃべりの声や、教師との応酬、自分自身との葛藤や、作品を作りながらの独り言、そして声高らかな主張…、さまざまな声が聞こえる。
毎年、審査会場に作品がずらりと並ぶとうるさいくらいだ。
学生美術展の絵は何故こんなに素晴らしいのか?
学生美術展の絵の魅力は、作品から感じ取れる「対話の痕跡」ではないだろうかと私は思う。
特に、子どもたちを一人の人間として尊重し、柔らかく受け止めてくれる美術教師たちの真摯な対話によって、柔らかく、しなやかな子どもたちの無垢な精神は光を放ちながら作品に宿り、作品をより魅力的なものにするのだ。
その対話は尊く、教師、子どもたち両方にとって、かけがいのないものになるだろう。
そして、この対話の積み重ねが子どもたちの大きな力になり、広大な未来へ進むための水先案内になるのだ。
私は毎年、この対話の痕跡をたどることに夢中になるのだ。
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