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「正しい解釈を示せる余地ある」/九州無償化裁判控訴審第1回口頭弁論

2019年10月08日 13:45 民族教育

九州無償化裁判控訴審第1回口頭弁論(2日、福岡高裁)には九州中高生徒をはじめとした学校関係者、保護者、同胞、日本人支援者ら200人以上の関係者らが駆け付けた。

控訴審第1回口頭弁論にあたり、原告側は書証として控訴状と控訴理由書、甲A183~185を裁判所へ提出。一方、被告側は控訴理由書に対する答弁書と乙168、169を提出した。

この日、法廷では原告側による意見陳述が行われ、原告本人と弁護士が発言した。

朝鮮学校卒業生である原告女性は自身のアイデンティティーを育んだ朝鮮学校への思いを口にし「控訴人の一人として、在日朝鮮人の一人として、民族教育を保障してほしいと切実に思う。裁判に関わるみなさんに在日朝鮮人にしっかりと向き合ってほしい」とし、朝鮮学校への高校無償化制度の適用を強く訴えた。

閉廷後の報告集会には約200人の関係者が参加した。

朴憲浩弁護士は控訴理由書の要旨について陳述し、3月14日に下された一審判決の問題点について、▼国が朝鮮学校を不指定とした2つの理由(朝鮮学校を無償化の対象とするための根拠規定ハの削除、法令に基づく学校の適正運営を定めた本件規程13条に適合すると認めるに至らない)の矛盾と向き合っていないこと、▼ハ号削除の違法性判断を放棄していると指摘。朝鮮学校だけを狙い撃ちにした本件不指定処分をなんとか適法と評価するために多くの点でいびつな法解釈、適用がなされていると強調した。

弁護団によると、原告側では前述の書証に加え、前川喜平・元文科省事務次官ら3人に対する証人尋問を求める証拠申出書と、裁判官らの九州中高訪問などを要請する検証申出書を提出。また学者による意見書を近く裁判所へ提出する予定だという。

弁護団と裁判官の進行協議の結果、次回の裁判期日が12月20日に決まった。

閉廷後、福岡県弁護士会館で行われた報告集会では、九州無償化弁護団の金敏寛事務局長が法廷でのやりとりについて述べたあと、朴憲浩弁護士が代理人弁論の内容について説明した。朴弁護士は「最高裁は三行半で大阪や東京の上告を退けたが、逆に言えば、無償化法に関する統一的な法解釈は示されていない。まだ正しい解釈を示せる余地は十分にある」と述べ、今後の裁判でそれを証明していく決意を語った。

報告集会では弁護団の金敏寛事務局長らによる発言があった

つづいて2人の弁護士が発言した。控訴審から弁護団に加わった白石覚弁護士は地裁判決について「こんなに理解に苦しむ判決があるのか。この問題で闘わずして何を闘うんだという思いだ」とし、勝訴に向け最後まで闘い抜く決意を述べた。

その後、集会では支援団体による連帯のあいさつやアピールが行われた。また8月に行われた福岡ふれあい納涼祭実行委から朝鮮学校無償化実現・福岡連絡協議会へ裁判支援金が手渡された。

福岡ふれあい納涼祭実行委から朝鮮学校無償化実現・福岡連絡協議会へ裁判支援金が手渡された。

金敏寛事務局長は集会の最後に、この日多くの関係者が控訴審に駆け付けたことに「弁護団としてもとても励みになる。みなさんがこの闘いを諦めていないんだということを強く実感した」と話した。そのうえで金事務局長は1日から始まった幼保無償化制度から朝鮮幼稚園が除外されていることについて触れ「高校無償化、幼保無償化を勝ち取る闘いは、この日本で朝鮮学校が存在していいんだ、子どもたちが堂々と学んでいいんだということを証明するための闘いだ」とし、両権利を獲得するために関係者たちがいっそう力を合わせていくことを呼び掛けた。

(丁用根)

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