【インタビュー】朝鮮人が生きた歴史明かしたい/写真家・李光平さん
2019年06月25日 21:03 文化・歴史情熱と使命感で20年
1945年2月11日、中国吉林省延辺朝鮮族自治州に生まれた李光平さん。74歳。これまで約20年もの間、過去日本の植民地統治の現場であった中国東北地域に通い、そこに住む朝鮮人の姿をフィルムに収めてきた写真家だ。彼が集めた何百もの証言内容からは、「満州」の地に生きた朝鮮人の記憶と生の痕跡を色濃く読み取ることができる。去る20日には日本で初となる「在満」朝鮮人の写真記録集を出版し、26日から東京・新宿の高麗博物館で記念写真展が、29日には同博物館で李さんの記念講演会が開催される。19日、日本を訪問中の李さんにインタビューを行った。以下、その内容を紹介する。
―この活動をはじめたきっかけは何か。
咸鏡北道で暮らした祖父は、日本の植民地支配下で、当時軍事倉庫をつくるため日本軍が村から村人を追い出したことで、朝鮮での生活基盤を喪失し中国東北地域へ移住した。祖父、父、叔父が皆移住を強いられたのだ。そのせいか自分のルーツに関わる朝鮮族移住史に早くから関心が高かった。1975年から写真を学びはじめ、99年に調査を開始。当初、南蛤蟆塘(みなみはまたん)という地域に住む住民が、咸鏡南道、江原道から集団移住した200世帯1000人で構成された集団移民の部落であることを知り衝撃をうけたことを覚えている。当時は、まだ中国でも集団移住という概念はなく、まさに抜け落ちた歴史になっていた。集団移民期の口述資料もゼロに等しかった。それで、90年代初頭から朝鮮民族の歴史文化記録を、集団移住については99年から調査しはじめた。