「語り継ぐ朝鮮の美」/高麗美術館で朝鮮王朝末期の作品展
2019年04月11日 10:40 文化作品展「朝鮮王朝末期の輝き『語り継ぐ朝鮮の美』」が高麗美術館(京都市北区)で4月1日から開催されている。
同展では1392年から1910年にかけて519年存続した朝鮮王朝の末期(19世紀末~20世紀)の作品、約70点が展示されている。
朝鮮王朝の後期から末期は、日本の植民地支配にいたる国難の時代であると同時に、朝鮮の文化が最も輝いた時代でもあった。この時代には、それまで貴族たちのものであった文化が一般民衆にも広がりを見せ、より朝鮮らしい鮮やかな色彩を追究し、さまざまに個性を活かそうとする流れが生まれる。
その一例が、朝鮮独自の技法「華角」などを使った家具だ。「華角」とは牛の角を紙のように薄く加工し、それに彩色を施したものを張り付ける技法で、今回展示されている「華角三層チャン」は華角を使った日用品の一つだ。今回の展示会に向けて南朝鮮から職人を呼び、朝鮮の伝統的な技法を使って修繕が施された。出品作品には華角の他にもべっ甲や鮫皮、漆など華やかな装飾が多く施された工芸品も見られる。このような意匠をこらした朝鮮家具からは、当時の混乱した社会情勢の中でも、美しさや華やかさを求め、美術作品を残し続けた朝鮮人民のたくましさを見て取ることができる。