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〈朝鮮民族の美 33〉歌う人(新羅土偶・5世紀)

2012年08月24日 11:08 歴史

この人物は歌っているのであろうか、それとも泣いているのであろうか。ひざまずき、手を前に組んで、やや首を傾け口を大きく開けて発声している。

高さ18.5cm、慶州博物館

上体だけを見れば、舞台の上の歌手さながらに堂々たる歌いぶりである。ただ古墳からの出土品であること、膝をついていることなどから泣いているかとも思わせる。しかしまた、昔から歌うように泣く泣き方もあったのであるが。

わずか18cmの小像で、子どもの粘土細工を思わせる作りであるが、顔の表情、首や手の表情など、素朴な中に人間の本質的なものをよく捉えた優品である。

日本の植輪に通じるものを持ちながら、それとはまったく性質の異なる人間臭さを持っている。

これは慶尚北道の彦陽付近の古墳から出土したものと伝えられるが、またマンドリンのような弦楽器を奏でながら歌う人物像もあり、他に足首まで隠れる長い衣を着た男女一組の人物土偶も発見されている。

いずれも、古代人が粘土をもって無作為に作り出したものとはいえ、そこにはすでに朝鮮の造形美の原点といったものが結晶しており、後日、新羅人たちが作り出した優秀な造形美の原動力とその本質が、すでにこのような初期の彫塑物に現れていることを感じるのである。

(金哲央)

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