〈本の紹介〉私の心の中の朝鮮学校(日本語対訳版)/文・権海孝、絵・朝鮮学校の子どもたち
2012年08月13日 14:12 民族教育愛情、尊敬、感謝を込めて
日本で60年以上にわたり朝鮮民族の誇りと朝鮮学校を守り続けてきた在日同胞たち。
この本は、ドラマ「冬のソナタ」の室長役で人気の南朝鮮の俳優・権海孝さんが、朝鮮学校を人々に広く知ってもらおうと出版したもの。このたび朝鮮語の原文に日本語対訳が加わった。
本には、日本の植民地支配によって生まれた在日朝鮮人と朝鮮学校の歴史が刻まれている。そこには第二次世界大戦後、日本人と区別するために作られた「朝鮮籍」、奪われた民族の誇りと言葉を取り戻すため同胞たちの手によって日本各地に設立された国語講習所、GHQによる朝鮮学校閉鎖令、朝鮮戦争、祖国の分断と民族の対立などが含まれる。
著者は、激動の朝鮮現代史の中で、在日同胞の存在を忘れて過ごした歳月を「恥じ」、6.15時代を迎えて金剛山で開かれた統一イベントで在日同胞と朝鮮学校の生徒に出会ったことについて触れている。
イベントが終わり、互いに抱き合い、北へ、南へと帰っていく中で、日本にしか帰る場所のない朝鮮学校の生徒たち。彼らが「ウリマル(朝鮮語)」を話すのはなぜか。
本には、日本社会でもまれながらもウリマルを話し、北を理解し、南を受け入れる子どもたちへの愛情と朝鮮学校の教員、保護者への尊敬、感謝の気持ちが溢れている。
権さんは、昨年3月の東日本大震災で被害を受けた朝鮮学校を支援するため南のアーティストたちとともに「モンダンヨンピル」の活動を続けてきた。その温かい文章を引き立てる絵にも注目したい。この明るく楽しい絵の数々は、朝鮮学校の児童・生徒たちが描いたものだ。気取らず、飾らず描かれた子どもの絵からは、「仲良く遊ぼう」との呼びかけが聞こえてくるようだ。たくさんの同胞と日本の人たちに手に取ってもらいたい。(潤)