〈本の紹介〉「朝鮮問題へのレッスン」/名田隆司
2017年10月02日 15:01 共和国歴史から紐解く今日の情勢
愛媛現代朝鮮問題研究所代表の名田隆司氏による第4集となる言質論「朝鮮問題へのレッスン」。
名田氏は、米国のプロパガンダを追従する偏向したメディア報道、朝鮮への植民地時代から続く根深い「蔑視観」が蔓延する右傾化した社会状況を憂い、「日本人としての歴史観、政治観が問われている」との思いから、本書を執筆した。
本書では、朝鮮半島での二つの政府の成立、朝鮮戦争を中心に論じることで、朝鮮民族を南北に分断し、支配を続ける米国の犯罪性を明らかにしている。
今日、朝鮮半島の緊張は日増しに高まり、「朝鮮の脅威」がメディアで扱われない日はない。名田氏はこの状況を「帝国主義陣営側が意図している情報操作」であるとし、背景にある米国の軍産複合体の存在を指摘する。軍産複合体は、米国内の政治・経済・軍事決定の中枢を占め、その国防利権には、米軍需産業や投資家、米政府や軍関係者、各種研究・情報機関が群がる。軍事目的から遊離し、兵器製造そのものを自己目的化し、巨額な防衛予算を消費する軍産複合体。「米国は、敵国朝鮮の『脅威』を叫びつつ、その一方では朝鮮を必要とする矛盾した政策を築きつつ今日まできている」。
朝鮮半島の平和と安定を望まない米国、そのお膝元で憲法改正と自衛隊の国軍化を進める安倍政権。緊張した情勢を読み解き、朝鮮問題の正しい認識と理解を深めるために必読の一冊。
(宥)