<ものがたりの中の女性たち99>破墓と名誉回復に命を懸けるー朴文娘、朴孝娘
2026年03月19日 09:13 文化・歴史あらすじ

朴孝娘實記
朴壽河(パク・スハ)は慶尚道の星州(ソンジュ)に住んでいた。ある日、忠清道の淸安(チョンアン)縣監朴慶餘(パクキョンヨ)が、朴壽河の家門の墓所に自分の祖父の墓を建てようとする。朴壽河は朴慶餘の権力を前に直接何も言えず、官に提訴する。ところが朴慶餘が権力を振りかざし、らちが明かず、憤慨した朴壽河は上京し、擊錚(キョクチェン)(朝鮮王朝時代、冤罪や苦情がある民が、王が行幸する道や宮門の前で、錚<かね、どら>を打ち鳴らして王に直訴した制度)するに至る。調査が行われた結果、朝廷は善処するよう星州郡に命じるが、朴慶餘は時間稼ぎをしながら、こともあろうに墓所をどんどん広げ、墓石や石像までしつらえ、朴壽河の家門を完全に無視する。堪忍袋の緒が切れた朴壽河は、松楸(ソンチュ)(墓地に植える樹木の総称)を勝手に切った相手の奴婢を平手打ちし、かえって相手から誣訴(虚偽告訴)される。また当時の慶尚道の監司が朴慶餘の親族であったため、朴壽河は捕らえられ惨い刑罰を加えられ獄死する。これに激怒した朴壽河の長女文娘(ムンラン)が、朴慶餘の祖父の墓を暴いて亡骸を燃やしてしまう。数日後、朴慶餘が多くの武装した手下を引き連れ急襲、激闘の末文娘と二人の奴婢が殺される。父と姉を失った孝娘は、復讐を誓い男装して都へ向かう。二度も撃錚を行うが、なかなか王には届かず、街を行く官吏たちの行列の前に立ちはだかり訴え続ける。彼女の事情は、いつしか街中に広がっていくが…
第九十九話「朴孝娘傳」
「朴孝娘(パクヒョラン)傳」は、作者、年代未詳の国文古典小説である。18世紀初頭に起こった、順天(スンチョン)朴氏と竹山(チュクサン)朴氏の家門間の山訟(サンソン)(山所(サンソ)を巡る詞訟(サソン)。墓や墓所、墓地を巡る訴訟のこと)が背景になっている。
この事件は「朝鮮王朝実録」に記録されるほど大きなもので、これと関連した記録や創作が多様な姿で残っている。20世紀初頭には活字本で出版され、国文小説の読み手である女性を意識し、家門の訴訟に呼応する女性たちの姿を歌辭體で描いている。被害者のふたりの娘が死を覚悟し真実を明かす内容は、積極的に行動する当時の女性像を表現し、彼女らの孝行心にスポットを当てている。
長女文娘の破墓

姉 文娘イメージ
朴壽河が無残に獄死した後、朴文娘、孝娘姉妹の名はその後20年に渡り全国を駆け巡ることになる。
父の無念の死を受け、長女文娘は家族と親族、奴婢たちを伴って墓山に登り、朴慶餘の祖父の墓を破墓し、遺体を燃やしてしまう。
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