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変わる朝鮮の保健医療/平壌総合病院がけん引する保健医療現代化

2026年02月14日 09:05 共和国

【平壌発=金淑美】朝鮮の保健医療部門をリードする中心拠点として平壌総合病院が、昨年11月に開院し、本格的な医療活動を開始した。平壌総合病院の開院により、朝鮮が昨年来、国家の重要政策として進めている保健医療の現代化事業が、今後さらに加速するとみられる。

開放感あふれる吹き抜けのエントランスホール(写真はすべて全基一撮影)

最先端のスマートホスピタル

朝鮮ではかねてより社会主義保健制度の下で、一人ひとりの健康を見守る予防中心の保健医療サービスが実施されてきた。一方で優れた保健制度を有しながらも、物質・技術的基盤は脆弱で、とりわけ病院施設の立ち遅れが課題となってきた。「すべての面で病院らしい病院」(平壌総合病院竣工式における金正恩総書記の演説)は存在しなかったのが実情だ。

こうした保健医療部門の現状を打開するために打ち出されたのが、「新時代の保健革命」、すなわち保健医療の現代化事業だ。

金正恩総書記は昨年2月、市・郡レベルで初の先進医療拠点となる江東郡病院の着工式で演説し、2025年を「保健革命の元年」とすることを宣言した。

その象徴、最初の実績として誕生したのが、平壌総合病院だ。同病院は、新型コロナウイルスが世界的に流行していた2020年3月に着工し、5年を経て、昨年10月に完工した。

平壌総合病院

平壌総合病院は、中央級の病院から転院してくる患者を対象に診療、治療を行うことを使命とする。朝鮮には行政区画ごとに、洞・里診療所、市・郡(区域)病院、道総合病院が、中央級の病院として平壌医学大学病院、金萬有病院などがあり、それぞれの役割分担の下で住民への医療サービスを提供している。これらの医療機関においては、病状に応じて患者を下位の医療機関から上位の医療機関に引き継ぐシステムが構築されており、中央級の医療機関から患者を引き継ぐ平壌総合病院は、いわば医療体制の「最後の砦」といえるだろう。

高度な医療機器が揃う救急科

MRIなど最先端機器を完備

同病院には、MRIをはじめとする先端医療機器やヘリポートが整備され、救急医療にも対応する。また、ITを用いた医療サービスの質の向上、医療の業務効率化、利用者の利便性向上などを実現するスマートホスピタルとしての機能も有する。受付から診療、治療、投薬、入院、退院に至る医療サービスの全工程は、独自に開発された「知能医療サービスシステム」により情報化、知能化されており、患者は「患者カード」を用いて一連のサービスをスムーズに、効果的に受けることができる。

自動受付

自動受付

全国医療インフラの刷新

しかし保健医療の現代化事業における平壌総合病院の役割は、最先端医療の提供に留まらない。

朝鮮労働党が掲げる保健医療現代化事業の「同時並行戦略」は、中央・地方病院や、各種保健医療施設、全国的な医療サービス・インフラの整備を進めるとともに、医療・サービス活動、人材養成と科学研究を並行させ、国の保健医療部門の水準を一気に引き上げることを目指している。

この戦略の中核を担うのが、平壌総合病院だ。具体的には、診断・治療、臨床研究とその普及、学術交流、専門家育成の拠点としての役割を担う。

清潔な病室

平壌総合病院に導入されている知能医療サービスシステムでは、電子カルテの一元化によりぼう大な医療・健康データが日々、蓄積される。キム・ジョンチョル副院長(64)によると、平壌総合病院に蓄積された病歴や臨床検査情報などのデータベースを元に、病変の検出、鑑別を支援する診断支援システムを構築し、これを各地の医療機関に普及させる計画だという。

現在、平壌総合病院の知能医療サービスシステムは、移動通信ネットワークを通じて道級病院まで連携されており、同一基盤に基づく医療サービスが実現している。

今後は「患者カード」も全国の医療機関で利用可能になる見通しだ。いつどこで、どんな治療を受けたのか、治療の履歴が一元化されるこのカードで、地域の診療所から中央級病院に至るまでの診療記録が一つに統合管理される。キム副院長は、このカードが、「患者にとっては生涯健康カードのようなもの」と話す。

1階エントランス

また、朝鮮では以前から、末端の医療機関に至るまで「遠隔医療サービスシステム」が整備されており、治療方針を協議する体制が築かれてきた。今後は、遠隔による手術指導なども導入されるという。

昨年、全国に先駆けて江東郡、亀城市、龍岡郡に最新の病院が建設された。これをモデルとして、今年からは毎年、20の市・郡で病院建設が進められる計画だ。

平壌総合病院を中心とした、保健医療現代化事業の同時並行戦略が計画通りに推進されれば、朝鮮の保健医療の土台は抜本的に変わり、人々に対する医療サービスに画期的な改善がもたらされるだろう。

キム副院長は、「今後、全国すべての市・郡に現代的な病院が建てば、都市も地方も分け隔てなく、社会主義保健制度の優越性が全国の人々にくまなく行き渡るようになる」と展望を語った。

(朝鮮新報)