補助金支給の再開を求め/6つの市民団体が埼玉県学事課と交渉
2026年02月25日 09:20 権利2010年度から止められている埼玉朝鮮学園への補助金支給の再開を求め2月17日、埼玉県内の6つの市民団体が水書潤課長をはじめとする埼玉県学事課職員との交渉の場を持った。同学園の李尚魯理事長、鄭勇銖校長、金英愛オモニ会会長が同席した。
交渉にあたったのは、「外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク埼玉」(以下、埼玉ネット)、「誰もが共に生きる埼玉県を目指し、埼玉朝鮮学校への補助金支給を求める有志の会」(以下、有志の会)、「朝鮮学校とともに歩み、私たち・ウリの問題として補助金停止を考えるプロジェクト」(以下、ウリプロ)、「埼玉から差別をなくす会」、「埼玉障害者市民ネットワーク」、「『人生100年時代』を生きるぱっとしない中年のいまと未来を考えるまんなかタイムス」の代表ら。

埼玉の6つの市民団体が県に補助金支給の再開を求めた
今回の交渉は、昨年11月27日に提出した上記団体連名の要望書に対する回答の受け取りと、それについてのやり取りの形で進行した。
埼玉県は当初、補助金支給の停止について、学校の財務上の問題を「理由」に挙げていたが、それが解決したと認めざるを得なくなった後も、2012年に埼玉県議会の予算特別委員会で可決された「拉致問題等が解決されるまでは予算の執行を留保すべき」との附帯決議等を盾に停止を続けた。
さらに、「拉致問題等の未解決」を理由として補助金支給を凍結していること自体が重大な人権侵害であると、埼玉弁護士会から2015年に「警告」が発せられるなど批判の声にさらされる中、最近は「最高裁まで争われた国の就学支援金裁判において、朝鮮総聯と朝鮮学校との関係性が教育基本法で禁じる『不当な支配』に当たらないとの十分な確証が得られないという国の主張が認められたことを一義的な理由としている」と高校無償化裁判を新たな理由として前面に持ち出してくるに至っている。
昨年11月の要望書で、上記の団体らは埼玉朝鮮学園が「高校無償化」裁判の当事者でもないにもかかわらず、その判決を「理由」にすることなどについての県の見解と補助金の支給再開を求めているが、県の回答は全く答えになってはいないものだった。
回答を受けての交渉では「県のこれまでの対応はまさにムービングゴールポスト。支給再開の要件としていたものが何度も変えられてきた。この問題は誰もが共に生きる社会になるのか、あるいは、目の色や肌の色や他国にルーツを持つといった出自の違う人たちを差別する社会とするのか、大きな転換点となる問題ではないか」(大東文化大教授の渡辺雅之さん、有志の会共同代表)、「学事課は理由探しをさせられてきた。今も10の道府県が補助金を出し続けている。『こどもの権利条約』や『こども基本法』、また『埼玉県こども・若者基本条例』(2024年施行)では子どもの最善の利益を図ることが求められている。これらに則して判断すべき」(斎藤紀代美さん、埼玉ネット共同代表)などの声が相次いだが、県側の対応はまさに木で鼻をくくったようなものに終始した。

埼玉の6つの市民団体が県に補助金支給の再開を求めた
交渉後の記者会見では「声明(2026)~〈わたし〉たちにとって大切な子どもたちのために~」が読み上げられ、交渉の様子や参加者それぞれの想いが語られた。
「埼愛キムチ」の頒布会に参加し、そのボランティアをする過程で立ち上げられたウリプロの20代の女性は「県の職員の説明が、とりあえず除外がまず前提にあって、二転三転、朝鮮学校が立ち行かなくなるのを待っているのではと思った。ヘイトを行政が先導している。そこにいる子がいい子だからというような話ではなく、当たり前に人権として承認すべきもの、そのように思考転換してほしい。これからも皆さんと一緒に取り組んでいきたい」と発言した。
またオモニ会会長の金英愛さんからは「昨年11月要望書を出した時に学事課の方に想いを語った。しかし今日の回答は…とても悔しい。多文化共生の担当者が尼崎の朝鮮学校に赴き多文化共生の学習をしたというのを同市ホームページで見た。埼玉県の学事課長は昨年夏に私たちの学校を訪問したと話していたが、果たしてそういう観点で来られたのか…それでも日本の有志の方々が共に考え行動してくださることが一筋の光」と語った。
【埼玉朝鮮学園】