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岐阜初中便り⑧「知徳体」と食育

2026年02月05日 13:15 民族教育

朝鮮学校では初級部入学時から「知徳体を兼ね備えた有能な人材になろう」とよく口にする。

「知識も道徳も一番大事!」と言いたいが、何よりも大切なのは子どもの健康な心と体である。

私自身3人の子育てを振り返ると、最も力を注いだのは食育であった。その努力の甲斐あってか、3人がみな高級部卒業まで学校を休むことなく通った。

園児たちとともに(右端が筆者)

食育は、単に栄養を摂るだけではなく、食事の楽しさや感謝の気持ちを学び、ひいては食文化の継承など、心身ともに健康な生活を送るための大切な教育であると思う。

そんな自身の子育て経験を幼稚園で活かそうと、毎月「朝鮮料理の日」を設けた。

ピビンバやチヂミ、ナムルはもちろん、お正月には「トック」、七夕には「そうめん」、秋にはキムチ作り等々、季節の料理を取り入れた。また3月3日には「ファジョン(花餅)」、秋夕には「ソンピョン(松餅)」を作って朝鮮の名節を楽しく祝うことができた。

私が幼稚園を担当することになった4年前、食育は得意な分野だと自信があったのも束の間、辛い物を食べられない幼稚園児にはメニューに限界があるという問題にぶつかり、頭を抱えることになった。

また衛生上、子どもたちと一緒に作ることにも限界を感じた。

しかし作ることだけが食育ではない。

大切なのは美味しく、楽しく食べる事!

大勢で食卓を囲んで食べることは朝鮮文化の大きな特徴であろう。

そんな食育、実は「朝鮮料理の日」を子どもたち以上に楽しみにしているのは、紛れもなく校長先生ではないかと思うこともしばしば。

一つの机を囲み子どもも先生も「美味しい! 美味しい!」と食べている姿はまるで家族のようだ。

ある時には、保育で「サンチュの歌」を歌いながら、サンチュに見立てた紙で「包む」楽しさを知った子どもたちは「大きな口を開けて美味しく食べよう♪」と歌いながらパクリと食べる真似をする。

何度も何度もこの動作を楽しむことで、好きではない野菜もパクリと食べた瞬間、私は心の中で(よし! 大成功!)と叫んでいる。

歌をうたうことで食が楽しくなり、各家庭でもサンチュの歌を歌いながらサムギョプサルを食べたと報告してくれた。

この他にも、豆モヤシご飯や朝鮮風肉ジャガ、鶏のスープなど園児たちは好き嫌いなくいつももりもり食べている。

食育を通じて食材を知り、朝鮮語を覚え、歌や文化を自然に身につけることができるのは朝鮮幼稚園だからできることだ。内面から揺らぎない在日朝鮮人としての健康な心と体を兼ね揃え、初級部から「知徳体」をしっかり育てて欲しいと願う。

(教員・金玲華)