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〈留学同80年の軌跡⑨2020年代(下)〉関東大震災100年、「トルパプロジェクト」始動

2026年02月01日 08:07 総聯

日本の大学や専門学校に通う在日朝鮮人学生のための団体で、その源流は日帝植民地下、朝鮮本土より日本へ留学し、日本の地で朝鮮独立を掲げ闘った朝鮮留学生たちの活動にある。総聯傘下団体の中でも最も長い歴史を持つ留学同は、この朝鮮留学生たちの意志を継ぎ、今日まで一貫して祖国と民族、同胞社会の発展に寄与し、在日同胞と朝鮮留学生の民主主義的民族権利の擁護のために活動してきた。80年の歴史を振り返る本連載の執筆は、留学同中央が担当する。月1回掲載。

在日朝鮮人学生らが自らの民族性を獲得してく過程において、朝鮮民族が歩んできた歴史、特に「痛み」の歴史を正しく知ることは非常に重要だ。育った環境や受けてきた教育に関わらず、歴史性を自覚している学生ほど自身の民族に対する理解はより深く、主体的なものとなる。このようなことから留学同では一貫して「歴史」を重視してきた。

現在の日本社会では日本の植民地支配をはじめとした加害の歴史が否定、歪曲され続けている。関東大震災時の朝鮮人虐殺についても、近年、これまでにないほど深刻な歴史修正が行われているのが現状だ。

そんな中、関東大震災から100年を迎える2023年、▼関東大震災時の朝鮮人虐殺を記憶すること、▼現在も続く植民地主義による朝鮮人差別を是正するため世論を動かしていくこと、▼より多くの人にこの問題を知ってもらうことを目的に留学同メンバーと日本人学生が共に「朝鮮人虐殺の歴史を記憶し、朝鮮人差別に反対する朝・日大学生一大行動-トルパプロジェクト」を立ち上げた。名称に用いた「トルパ」とは「突破」という意味だ。

トルパプロジェクトは23年8月21日に新宿でデモパレードを実施した

トルパプロジェクトは、23年8月21日に新宿でのデモパレードを敢行した。

ここに、200人近くの同胞、日本人学生・市民らが参加した。参加者らは新宿アルタ前広場から新宿中央公園までの1kmの区間を「東京都は虐殺の事実を認めろ!」などと書かれたプラカードやうちわを掲げ、シュプレヒコールを叫びながら練り歩いた。

都庁前での集会(23年8月21日)

その後、都庁前に移動し集会を開催。留学同盟員や日本人学生のみならず、朝青員や朝大生、大学教員らも発言し、関東大震災時に虐殺された朝鮮人を追悼する集会に追悼文を送付しない小池都知事の姿勢や真相究明を行わない国の態度を痛烈に批判した。

夜には場所を移しての屋内集会も実施した。実行委員を務めた留学同のメンバーと日本人学生らが登壇し、ディスカッション「なぜ今、関東大震災時の朝鮮人虐殺を語るのか~朝・日大学生の立場から考える」を行ったほか、「日本の大学に通う朝・日大学生声明文」を採択した。

屋内集会のようす(23年8月21日)

実行委員たちは8月23日、改めて東京都庁を訪れ、小池都知事宛の要請文を提出した。

この一大行動は数多くの日本のメディアにも取り上げられ、朝・日の大学生から大きなうねりを起こしたと言っていいのではないだろうか。

実はこの年、留学同各地方本部でもトルパプロジェクトの一環として様々な行事が行われた。2月には留学同京都、兵庫がそれぞれ関東大震災時の朝鮮人虐殺を扱った綜合文化公演を行ったほか、各地で学習会、フィールドワーク、シンポジウム、展示会などが活発に行われた。中でも留学同東京が作成したパネルが国立市主催の展示会で採用されるなど大きな広がりを見せた。この年、これらの行事には延べ1800人もの人々が参加した。

各地で学習会が行われた(写真は西東京、23年7月)

東海での展示会のようす(23年)

また、続く2024年にもトルパプロジェクトはデモ、都庁前集会、都に対する要請行動を行った。また関東大震災時の朝鮮人虐殺に関する証言や資料をまとめた新たなホームページを開設した。

2025年、トルパプロジェクトは更なる広がりを見せる。

10月10~13日にかけて東京、愛知、大阪、広島にて全国パネル巡回展「Moving History Museum~日本と朝鮮、消えない歴史」を実施したのだ。これは朝鮮解放80年に合わせ、これまでの関東大震災時の朝鮮人虐殺に留まらず、日本による朝鮮の植民地支配の歴史や在日朝鮮人への差別、現在の歴史歪曲まで解説した。さらに東京大空襲や浮島丸事件など各地方特有のパネルも作成、展示された。

全国パネル巡回展には4日間で約400人が来場。鳩山由紀夫元首相など日本の政治家も訪れた。

日本人学生10人を含む朝・日の学生で作成されたこれらのパネルは、今後も貸し出しを行う。既に京都府宇治市の「ウトロ平和祈念館」をはじめ、高知や沖縄でも展示されることが決まっている。

さらに11月30日には、これまでの経験や活動を元に、同じ問題意識を持った個人や団体を繋ぎ、情報交換の場を作り、戦後補償問題、歴史保存運動、過去清算要求運動をより多くの地域で連携して進めていくことを目的に「日本と朝鮮の歴史に向き合い、植民地主義に反対する日朝青年学生全国ネットワーク-トルパ」として新たにスタートを切った。

朝・日青年学生の新たな全国ネットワーク「トルパ」が結成された(25年11月30日)

朝・日青年学生の新たな全国ネットワーク「トルパ」は早速、12月10日に朝鮮学校への高校無償化制度適用を求め文科省に対し要請活動を行った。

このように近年、留学同は「トルパプロジェクト」を軸とした過去清算運動を大々的に行ってきた。

これからも朝・日の青年学生をまとめ、在日朝鮮人や朝鮮民族のため過去清算や歴史保存運動を活発に行っていくだろう。

【留学同中央】

▲「トルパ」の2023年主な活動

2.19 留学同兵庫綜合文化公演「九月の残響」

2.20 留学同京都綜合文化公演「叫びの上に」

7.9 留学同神奈川、横浜地域朝鮮人虐殺跡地FW

7.15 名古屋市立大学展示会

7.22 留学同西東京、日朝学生交流学習会

7.23 被害者遺族証言収集

7.27 関東大震災オンライン講演会

7.30 留学同東京、特別展示会「関東大震災・朝鮮人虐殺から100年~いま、何をすべきか~」

8.8 留学同大阪、大阪公立大学映画「隠された爪痕」上映会

8.21 デモ、都庁前行動、集会

8.23 東京都要請活動

10.13 留学同京都、同志社大学対外シンポジウム

10.28 留学同大阪、大阪公立大学特別講演会

11.4 留学同兵庫、関西学院大学特別講演会・ポスター展示会

(朝鮮新報)

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