“共に喜び合える日を”/600回目の文科省前「金曜行動」
2025年12月23日 11:09 権利 民族教育真正な民族教育権の実現を求め

約1,000人が差別反対の声を上げた
19日、朝鮮学校に対する高校無償化適用を要求する「金曜行動」が600回目を迎えた。東京都千代田区の文科省庁舎前には朝鮮大学校の学生や東京中高の生徒、教員や保護者をはじめとする同胞、日本市民ら約1,000人以上が集まり、朝鮮学校への差別反対を叫んだ。
約1,000人が参加
「金曜行動」は、朝鮮学校への高校無償化適用を求め、朝鮮大学校の学生たちの呼びかけで2013年5月31日にスタートした。大阪地裁での歴史的勝訴を除き、2013年から各地5カ所で朝鮮学校に通う生徒や卒業生、学園が原告となり行われたすべての無償化裁判で不当判決が確定した後も、学生や保護者、教員をはじめとする同胞、日本市民らは、毎週金曜に文科省前に集まり、日本政府の朝鮮学校差別政策の不当性を主張してきた。
600回目の「金曜行動」に集まった参加者らは、拡充が進められる高校無償化制度に朝鮮高校も適用するよう、強く訴えた。
初めに、「金曜行動」に先がけて行われた、朝鮮学校への「高校無償化制度」適用等を求める文科省要請の報告が行われた。
総聯中央の南昇祐副議長があいさつした。南昇祐副議長は、「『金曜行動』が始まってから12年、当たり前の権利である高校無償化が実現されていないことは、大変不当で遺憾なことだ。しかし、学生たちは困難な時も朝鮮人としてのアイデンティティーを誇示し、民族的自尊心と朝鮮学校で学ぶ誇りと喜びを守ろうとする意志を闘いの中で確固たるものしてきた」と指摘した。
また、「祖国解放80周年、民族教育実施80周年を迎える長い歴史には、4.24教育闘争や外国人学校法案反対運動、朝鮮大学校認可獲得闘争をはじめ、民族教育権利獲得のための闘いの伝統が刻まれている。今行われている高校無償化闘争も、21世紀の民族教育史に立派な足跡を残すであろう」と、述べた。
最後に、「我々は権利獲得闘争の歩みを止めない。将来を見据え前進していくのみ。神聖な民族教育権を守り拡大するために、子どもたちの未来のために、より力強く声を上げ闘争を繰り広げていこう」と、参加者に呼びかけた。
続いて、主催団体から「日本と朝鮮を結ぶ全国ネットワーク」(日朝全国ネット)の藤本泰成共同代表があいさつをした後に、立憲民主党の徳永エリ参議院議員、社民党のラサール石井参議院議員が連帯のあいさつを行った。
ラサール議員は、「子どもたちに差別をするなと教えるべきである文部科学省が、差別を行っているということ自体が間違っている。自分の国の誇りを学べないことは、とてもあってはならない」とし、「『相手の立場になって考える』、これが欠如した時に差別が起こる。朝鮮学校の無償化が実現し、みなさんと共に喜び合える日を必ず作ってみせる」と、力を込めた。
続いて、朝高生、朝大生、保護者らをはじめとした代表らがマイクを握り、無償化適用を求めるそれぞれの思いを語った。
参加者らは、横断幕やカードを掲げ、約1時間に渡り、シュプレヒコールを繰り返し叫び続けた。行動は、「声よ集まれ、歌となれ」の合唱で締めくくられた。
支援制度の対象へ

尹太吉会長が要請書を読み上げ、文科省担当者に手渡した(写真=朴忠信)
同日、デモ行動に先がけて朝鮮学校関係者たちが文科省を訪ね、朝鮮学校への高校無償化適用などを求める要請を行った。
文科省の担当者1人が対応した要請の場に、全国朝鮮高級学校校長会の尹太吉会長(東京中高校長)、東京中高保護者会のメンバーと朝鮮大学校学生らなど同胞と、朝鮮学校を支援する全国ネットワークの佐野通夫氏など日本人有志たちが参加した。
また、立憲民主党の近藤昭一衆議院議員と徳永エリ議員、社民党のラサール石井議員が同席した。
要請では、尹太吉会長が要請書を読み上げた。
内閣総理大臣、文科省大臣に宛てられた要請書では、2012年当時の政治的理由を口実とした朝鮮学校への制度除外を差別であると指摘。朝鮮学校の保護者や生徒たちが日本学校と同等の支援を受ける十分な正当性がある一方で、制度から除外され続けている現状に精神的苦痛と財政的負担を強いられていることを批判した。
要請書は、▼高校無償化から除外されている朝鮮学校生徒たちへの不合理な差別を改め、支援制度の対象とするための措置を速やかにとることを求めた。
要請書が文科省担当者に手渡されたあと、参加者たちが各々の立場を代表して発言を行い、朝鮮学校への制度適用を強く求めた。
要請は、全国朝鮮高級学校校長会、学校法人朝鮮学園全国連絡会、全国朝鮮高級学校保護者会、日本と朝鮮を結ぶ全国ネットワーク、朝鮮学園を支援する全国ネットワークの連名で提出された。
また、12日には福岡と兵庫の朝鮮学校関係者らが、文部科学省で要請活動を行い、要請文をそれぞれ提出した。
(文=尹佳蓮、朴忠信 写真=盧琴順)








“共に戦い、勝利を勝ち取ろう” /600回目の「金曜行動」