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これからのために在日朝鮮人の権利闘争に学ぶ/人権協会主催シンポ、登壇者の発言

2025年12月11日 14:54 社会

在日本朝鮮人人権協会が主催する祖国解放80周年・総聯結成70周年記念シンポジウム「継続する排外主義を断ち切るためにー在日朝鮮人の権利闘争史に学ぶー」(7日、文京区民センター)では、第2部で外国人労働問題や入管収容の問題に取り組む指宿昭一弁護士、愛知高校無償化裁判の愛知弁護団で活動した裵明玉弁護士、人権協会顧問であり元朝鮮新報社記者の姜惠眞さんがパネラーとして、瀬戸徐映里奈さん(近畿大学教員)と河潤美弁護士がコーディネーターとして登壇し、「排外主義と『同化』に立ち向かうためにー運動の“これから”を探る」と題するディスカッションが行われた。

過去から続く差別性、植民地主義と向き合わず、それを放置してきた日本では、現在も外国人に対して排除し同化を求める社会が再生産されている。第2部は、在日朝鮮人や外国人に対する差別が横行する社会で何が起こり、パネリストたちがそれにどう対応してきたのかを学び、差別や排除に対する抵抗運動に連帯して取り組んでいく決意を新たにする場となった。

私たちの「内なる差別」と闘っていこう/指宿昭一弁護士

技能実習生に対して奴隷労働を強制する制度、入管における人権侵害の背景には、憲法で保障されている人権よりも入管法の在留資格制度が上にあるという思想がある。

外国人差別の根源には日本の近代史における植民地主義がいまだに清算されず、それどころか現実的な制度として機能している問題がある。何よりも入管制度、外国人労働者に対する差別の問題について、日本人が気づいてこなかった、気づいていても変えようとしてこなかった、変えようとしても変えることができなかったことについて、私自身が自ら受け止めなければならないと感じている。これは私たちの「内なる差別」であると考えている。

差別があるから反対するのは当たり前のことだが、その根源に植民地主義があり、私たちは日本近代史の負の歴史を正面から認め、それと闘っていかなければならない。その点で戦後の在日朝鮮人の闘いの歴史、被抑圧の歴史から学ぶことは大事だ。

現在、さまざまな差別と闘う人たちがつながってともに闘う状況が作られている。今日のシンポジウムもその一環になるはずだ。

 

高校無償化からの朝鮮学校外しの本質/裵明玉弁護士

高校無償化からの朝鮮学校外しの本質には大きくふたつの問題がある。ひとつは外国人差別の根源に外国人の人権を認めない植民地主義があり、克服されていないということだ。解放後、本来なら人権や在留権を保障されるべきだった植民地出身者を2等市民である外国人に貶めて権利を保障しないまま、治安と社会統合を脅かす負の存在だという外国人観を日本社会と政権が受け継いでいる。

もうひとつは、「北朝鮮と関連付けられる人たちであれば排除されても構わない」という「北朝鮮フォビア(嫌悪)」の問題が大きい。これは一種の植民地過去清算からの逃避でもある。

高校無償化裁判の際、愛知弁護団は「朝鮮人としての生き方を侵害された」という原告の生徒たちの思いを中心に据え、朝鮮学校には朝鮮人が朝鮮人として主体的に生きようとする権利を考えるうえで重要な役割があると訴えた。訴えはある程度は裁判官の心を打った部分もあったが、「北朝鮮フォビア」を乗り越える判決は出なかった。しかし運動の方向性は間違っていなかったと思っている。これからは裁判闘争で培った運動の方向性をより多くの日本の方々とともに追及していくことが大事だ。

 

日本社会にも貢献した権利擁護運動/姜惠眞顧問

60年代の日本政府の在日朝鮮人政策の基本は弾圧と同化だった。それは今も変わっていない。同化政策は最も悪辣な民族抹殺政策だ。

抑圧の中、在日朝鮮人が民主主義的民族権利を主張し、繰り広げてきた運動には、①外国人学校法案反対運動、②出入国法案の問題、③外国人登録法の問題、④祖国と外国への往来の権利拡大、⑤沖縄、北海道、九州における強制連行真相調査団の活動、広島・長崎の朝鮮人被爆者の実態調査、⑥年金、公共住宅など各種社会保障上の諸権利の問題、⑦経済経営上の諸権利の問題がある。

これらはすべて民族としてのアイデンティティーや民族性を守るための運動だった。日本当局は朝鮮や総聯に対するバッシングと連動させながら在日朝鮮人と祖国との関係を断ち切ろうとしているし、実質的に国籍選択権を侵害している。

80年間の在日朝鮮人運動の道のりを振り返り、われわれの権利擁護運動が日本社会を正すうえで貢献したと自負している。将来、日本社会の差別と偏見は日本社会における困難で深刻な問題の土台になるだろう。日本社会のためにもこのような問題を是正するべきだ。

(許侑琳)

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