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〈記者らが記した歴史の瞬間②〉待ち望んだ再出発の道/歓喜の渦、帰国の港で

2025年10月14日 07:00 歴史

1950年代後半、祖国の戦後復興が勢いを増す中で、在日同胞の胸にも新たな希望が芽生えていた。厳しい異国の地での生活苦に終止符を打ち、祖国の発展に寄与する道で再出発を図りたい。そんな思いが同胞社会全体に広がっていった。

58813日、総聯神奈川・川崎支部中留分会の同胞たちは会合を開いて集団帰国を決意し、切実な気持ちを込めた金日成主席宛の手紙を送る決議を採択した。その現場には朝鮮民報(611月に「朝鮮新報」に改題)の記者もいた。当時の記事にはこう記されている。「この日、決意を固めた同胞たちの表情は新たな希望と力で満ち、家路に着く夫婦はすでに帰国後に何をするのかを話し合っていた」。

朝鮮民報は、在日同胞の帰国を支持、歓迎する「労働新聞」の社説なども報じた。

それから1カ月後の9月8日、金日成主席は朝鮮創建10周年慶祝大会の演説で、朝鮮人民は日本で生きる道を失い祖国の懐に帰ろうとする在日同胞の念願を熱烈に歓迎すると語った。

この知らせは同胞社会を歓喜で包んだ。翌9日、東京・千駄ヶ谷の東京体育館で行われた朝鮮創建10周年中央慶祝大会には関東各地から2万余人が集結。日本最大級だった同体育館は同胞たちで隙間なく埋め尽くされ、熱狂的な歓呼と拍手で揺れた。

朝鮮創建10周年中央慶祝大会には関東各地から2万余人が集結した。

記事に「朝鮮解放以降の群衆大会の中で最高の雰囲気」と記した記者自身も、その一体感に胸を震わせたに違いない。

その後、同胞たちは

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連載〈記者らが記した歴史の瞬間〉