〈ものがたりの中の女性たち94〉「慶事？　災いの間違いでは？」－金氏、柳氏、某氏

あらすじ

夫人像　イメージ

朴弼滑（パクピルファル）が科挙に合格したとき、彼の父は何度も祝宴を開くほど喜ぶ。ところが夫人の金氏だけが浮かない顔をしている。不思議に思った義父が金氏に訊ねる。「我が家の慶事だというのに一体どうしたのだ」。金氏は答える。「私が幼い頃、実家の父が科挙に合格するまで十年を費やして準備をいたしました。一方、私は夫が書籍を読んでいる姿を、ついぞ見たことがありません。なのにこんなことが起こるなんて…私は心配でなりません」。それから数日後、朴弼滑が他人の答案を盗んだことが発覚する。

具仁后（クイヌ）の邸宅に二人の武士が夜、突然訪ねて来る。応対に出ようとする具仁后に、夫人は慌てて声をかける。「あまりにも